前回コーラスをまたぐことの重要性を解説しました。
今回は具体的にコーラスをどうまたいでアドリブするのかをご説明します。
「コーラスをまたいでフレーズを弾くんでしょ?はいはい」と思って実際やってみると、これが以外とできなかったりします。
そもそも楽器をやっている人は小節や拍の感覚を一生懸命身につけてきたため、それを破るということは容易ではありません。
プラス、なにごともきっちりするのが好きな日本人の性分もあいまって、余計にコーラズをまたぐことを難しくしています。
そこで、コーラスをまたぐ準備をしっかりとしておきましょう。
まずは心の準備です。
だいたい11小節目の頭ぐらいでもう次のコーラスのことを視野に入れておかないと後手後手に回り、結果次のコーラスの頭からスタートになってしまいます。
F BluesだとG-7 C7からF7に解決した瞬間にもう次のコーラスのことを考えておくということです。
このF7で『ひとまずここまで来たぞ』とほっこりしたり一息ついたりしているともう気が付けば次のコーラスが始まってしまいます。
さて、Ⅱ-ⅤからF7に解決したら、心の準備と共に次のフレーズの準備を始めましょう。
実際にコーラスをまたぐのは1拍か2拍程度です。
ということは、11小節目の頭から5~6拍ぐらい間があります。
ここがコーラスをまたぐデッドゾーンとなります。
図にするとこのようなイメージ。
図で見るとデッドゾーンに十分な猶予がある感じがしますが、実際はテンポにもよるけど2~3秒です。
体感的にはほんの一瞬ですぎていきます。
ではコーラスをまたぐフレーズをどうやって作ったらいいのか?
単純にコーラス(小節)をまたいで何かやればいいのですが、恐らくこれを読んでいる方はいままでそういう訓練をほとんどしたことがないと思います。
ですので、コーラスをまたぐためのフレーズの作り方をご紹介しておきます。
一つ目は、フレーズを合体させるやり方。
まず本体となるフレーズを用意します。
これは頭(1拍目)から始まるフレーズで結構です。
本シリーズで一番最初に使ったこのフレーズを例としましょう。
もちろんこれでなくても1拍目から始まるフレーズなら何でも構いません。
この本体の前に別のフレーズを合体させます。
図にするとこんな感じ。
すると本体が頭から始まるフレーズなので、自動的に合体させたフレーズは前の小節(コーラス)の終わり部分にはみ出して、結果的にコーラスをまたいでいることになります。
この手法に関しては、第3回で軽くご説明しています(変化⑤ フレーズの前に音を足す)。
では本体と合体させるフレーズは何を弾いたらいいのかというと、ちょっと例が膨大になりすぎるので、とりあえず自分で色々試してみてください。
ポイントとしては、合体させるフレーズもF7と解釈しておくことです。
正確には12小節目の3・4拍目あたりなのでコードはC7となりますが、そこは無視して大丈夫です(無視した方がよりジャズらしくなる)。
もう一つの方法は、侵入です。
こちらは文字通り、同じフレーズで前のコーラス終わりから次のコーラスに侵入していく方法。
図にするとこんな感じです。
比較的短めのフレーズを繰り返し使うと効果的です。
グラント・グリーンがよくやるイメージ。
また、侵入はコーラスをまたいでも結構長々と続けることが多いという特徴があります。
これもフレーズ例は膨大にあるので今回は割愛。
では模範例として実際にやってみましょう。
1コーラス~2コーラス目は「合体」、2コーラス~3コーラス目は「侵入」でまたいでいます。
なんとなく掴めたら自分で試してみましょう。