今バズってるこちらの楽曲。
Aメロ頭がもうパンチラインすぎて、タイトルの「UCHIDA1」すら忘れられて「まあみのご挨拶」で浸透しているのが面白いです。
で、よくよく聴いてみるとこの曲、サビがないんですよね。
まああると言えばあることにはなるけど、いわゆる”サビ”ではなく、むしろブリッジに近い感じ。
乱暴に言うと、Aメロ頭が最高潮でそこから後は普通って感じです。
これまでの楽曲の常識ではありえないんですが、ただ、今の時間感覚とはマッチしています。
コンテンツの最大の魅力が最短で訪れて、そこだけ知ってたらとりあえず流行りには乗れるというのはまぎれもなく”今”の仕様でしょう。
も、もはや楽曲にはサビすらいらんのか……
この曲を聴いてそう思い、愕然としました。
今の作曲のスタンダードって、
「イントロは短く、あるいはなしで」
「イントロでサビの予告を出して期待感を煽れ」
「AメロBメロをたっぷり構築するな」
「でもAメロBメロはサビレベルで作れ」
「サビまで最短時間で到達しろ」
「ギターソロ?んなもんいらん」
「楽曲後半はもう聴いてもらえると思うな(でも手は抜くな)」
だと思っていたんですが、もはやそれすら古くなっていて、
「Aメロど頭でパンチライン入れてリスナーを掴め、そこ以外はどうでもいい」
というところまで来たのかと。
まあさすがにそれは極端だとしても、今のリスナーの音楽消費の仕方を見ると、サビ<Aメロ頭という風潮は今後スタンダードになっていく気がします。
「それって結局曲の頭でリスナーを掴めってことでしょ?だったら頭サビなんて昔からあるじゃん」
と思った人、古いです。
もう今のリスナ-は16小節とか32小節すらじっくり聴く時間も体力もありません。
勝負は最大で歌い出し頭2小節程度でしょう。
そこがサビかAメロかというのはもはや関係ないようです。
歌い出しで「ちゃおっすぽい~ん」のようなクセになるパンチラインが出せなければ今後は情報洪水の中に簡単に埋もれていく気がします。
いやはや、すごい時代になってきたものです。
作曲してる人はそういうところを意識して作ってみましょう。
あと、どれだけくだらないと感じても流行りはちゃんと追った方がいいです。
その奥に必ず時代性が潜んでいるので。
それが掴めたら自分の音楽に反映さえればいいだけです。