ジャズのアドリブがやってみたい、でも経験値0だし、何の知識もないし、コードやスケールも知らない。
ジャズもまだ初心者でたくさん聴いてないし、聴いてもよくわかんない……
そんな方でも八幡謙介ギター教室ではいきなりアドリブからはじめます。
なんでかというと、アドリブの前提としてスケールやら理論やらを何ヶ月もやるのはつまらないからです。
だからとにかく、いきなりジャズのアドリブを体感してもらいます。
もちろんそこからレベルアップしていく過程で学ぶことは沢山出てきますが、まずはいきなりやってみるのが一番だと僕は思っています。
といっても何もない状態から「はい、やって」ではなく、ちゃんと誰でもはじめられるよう噛み砕いて、段階を踏んで進めていきます。
今回は教室で完全初心者にアドリブを教えるのと同じように、知識経験0からアドリブする方法をお教えします。
ジャズを全く聴いたことなくてもOK(できれば聴いてほしいですが)。
ギターもフルアコセミアコじゃなくても、普段使ってるもので大丈夫です。
もちろんギターじゃなくてもできます。
課題曲は「Fブルース」です。
といってもこれは「ジャズのブルース」です。
分からない人のためにご説明しましょう。
知ってる人は飛ばしてください。
「Fブルース」とは、キーFのブルース進行のことで、コード進行はこちらになります。
「え、ブルースなのにこんなにコード出てくんの?」
「こんなの無理だよ!」
と思った方、コードがひとつも分からなくても大丈夫です。
そもそも入門編ではコードトーンもスケールも使いませんし、伴奏もまだしません。
また、使う音も限定します。
とりあえず最初は12小節でひと区切りというところだけ覚えておいてください。
ジャズのブルースを聴いたことがない人のために、代表的なFブルースの曲を貼っておくので聴いてみてください。
- Hank Mobley「Greasin' Easy」
- Charlie Parker「Now's The Time」
- Wes Montgomery「No Blues」
全てFのブルースです。
タイトルやテーマは違いますが、コード進行は基本同じです(細かく捉えると違うが、今は分からなくていい)。
要するに、コード進行の型に異なるテーマのメロディを乗っけて、FのキーでアドリブしていくのがFブルースです。
最初から自由にアドリブするのは無理なので、使う音を限定します。
レッスンでは2音から始めるのですが、今回はちょっとだけ増やして4音にしましょう。
これだけ覚えて下さい。
一応説明すると、これはFマイナーペンタトニックスケールの一部です。
上記のコード進行中、基本どこでどの音を使っても大丈夫です(細かく言うとアレな部分もありますが、とっかかりとしては深く考えなくてOK)。
この4つの音だけを使ってアドリブしていきます。
これなら初心者でもなんとなくできそうですよね?
音名は分からなくて構いませんが、とりあえず白丸=Fとだけ覚えておいてください。
ジャズには独特のリズム「スイング」があるというのを知っている方も多いと思います。
これも最初からやるのは無理なので、とりあえずシャッフルで弾くと考えてください。
シャッフルというのは跳ねたリズムのことです。
ジャズについて少し勉強したことのある方は、「ツーファイブ」(Ⅱ-Ⅴ)をご存じでしょう。
上記のコード進行でいうと、A-7♭5 D7やG-7 C7のことです。
これを弾きこなすことでジャズらしさが出てくれます。
これも最初は無視してOK。
ものごとに段階を踏まえず、最初から難しいことをやらせようとするのはジャズの悪い癖です。
そんなことをするから初心者が挫折するのです。
最初はスイングもツーファイブも無視して、とにかくジャズのアドリブを体感してみて、そこから徐々に積み上げていく、八幡謙介ギター教室のジャズレッスンではこのようにジャズを教えています。
コーラスとは、曲の長さの単位です。
ジャズは短いもので12小節、一般的には32小節程度で1曲が終わります。
今回やるブルースは12小節で1コーラスです(上記譜面のサイズ)。
普通はアドリブでこの1コーラスを何度も何度も繰り返すのですが、とりあえず今は1コーラスだけ弾いてみます。
そうやって限定したほうがとっつきやすいからです。
ちなみに「テーマ」(最初と最後に弾くメロディ)は弾きません。
いきなりアドリブします。
本当はテーマはすごく大事なのですが、ちゃんと弾くことは難しいので、とっかかりとしてはスルーします。
八幡謙介ギター教室では、アドリブの割合を段階的に増やしていくことでアドリブ習得を目指します。
いきなり100%好きにアドリブするのではなく、まずはアドリブ0%から始めて、10%、20%……と徐々にパーセンテージを増やしていき、最終的に100%に近いアドリブを目指します(本記事では100%まではいきませんが)。
こうすることで完全な初心者でも気軽にアドリブを学んでいくことが可能となります。
最初はアドリブ率0%なので、下記の最初の例だけを見て「ぜんぜんアドリブじゃねーじゃん?」と決めつけるのはやめてください。
初心者がジャズのアドリブをする際、最も悩むのがフレージングでしょう。
どういうフレーズを弾いたらジャズになるのか?
スケール、コードトーン、アウト、テンション、ブルーノート、クロマチック……どれを使ったら一番ジャズらしい格好いいフレーズになるのか……
大丈夫です!
最初からそんなものは一切考えなくて構いません。
そもそも、フレーズをジャズにするというのはそういったことではないのです。
ジャズはリズムの音楽であり、<逸脱>する音楽です。
変に付け焼き刃でコードトーンやテンションを使うよりも、簡単なフレーズをジャズらしくするコツがあります。
以下それらを段階的に説明していくので、途中でやめずに是非最後までお付き合いください。
ではまず最初に使うフレーズを決めましょう。
フレーズはこちら。
これだけです。
「え?」と思った方も多いでしょう。
もちろんこれだけでは全然ジャズっぽくもないし、格好いいとも思えませんよね。
それは重々承知しています。
とはいえ、初心者向けに思いっきりレベルを下げているのかというと、そうでもありません。
そもそもお洒落で難解で複雑なフレーズを使うのがジャズだというのが思い込みなのです。
本当はこれぐらいのシンプルなフレーズを使った方がジャズらしくなります。
それは追々分かってくるので、まずはこのフレーズでソロを弾いてみましょう。
こんな感じです。
- 講師演奏
まずはこれをやってみましょう。
- 伴奏
@mobilefriendlyjazzbacking-5881(以下同)
またまた拍子抜けしたと思います。
でもここでがっかりして離れないでください。
これはまだアドリブ率0%、ジャズ率0%です。
同じフレーズをただただ繰り返しているだけなのでジャズでもないしアドリブでもありません。
ここから段階的に積み上げていくのでもう少々お付き合いください。
タイトルを見て変換ミスだと思った人もいるでしょうが、そうではありません。
このフレーズを使っていきなりジャズ率を50%に引き上げる方法があります。
それは、本ブログでおなじみ<逸脱>です。
といってもやることは簡単、フレーズの位置を頭から前の小節の4拍目にずらして弾きます。
ここでひとつ覚えておきましょう、
なんであれフレーズを4拍目から始めるとジャズ率が上がる!
どんなフレーズでも頭から弾くのではなく、前の小節の4拍目から弾くことでぐんとジャズらしさがUPします。
余談ですが4拍目裏だとロックやファンクでも多用されますし、そこまでジャズらしいともいえません。
3拍目裏でもジャズらしさは出ますが、初心者にはちょっと難しいかもしれません。
なので最初は4拍目からフレーズをはじめると覚えておきましょう。
慣れてきたらいくらでも崩せます。
『本当にこんなんでジャズになるの?』と思った初心者の方のために、実際このフレーズが使われているジャズの名演をご紹介します。
Miles Davisの名盤「Kind of Blue」に入っている「So What」という楽曲の7:06あたりから。
アドリブではなく伴奏としてですが、それでもジャズの歴史に残る名曲で使われているフレーズです(使っている音は少し違います)。
ではこれを使って1コーラス(12小節)弾いてみましょう。
- 講師演奏
どうでしょう?
最初より少しはジャズっぽくなった感じがすると思います。
ポイントは最初の小節が始まる前にフレーズを弾いていることです。
このように、全く同じフレーズでも小節を<逸脱>することでジャズらしさが生まれてきます。
一度やってみましょう。
- 伴奏
しかし、これはまだアドリブではありません。
ではここではじめてアドリブ率を上げてみましょう。
何をやるかというと、
・使うフレーズは全く同じ
・回数、場所などをランダムに(できるだけ4拍目には使う)
・フレーズを複数回繰り返してもOK
このルールでアドリブしてみましょう。
例えばこんな感じ。
- 講師演奏
基本4拍目スタートを踏襲しつつ、少しランダムにフレーズを弾いています。
これはあくまで例であり、これと同じに弾くのではありません。
自分なりにフレーズの始まる位置を変えたり繰り替えしたりを瞬間瞬間で判断して行いましょう。
それがアドリブです。
これぐらいならなんとかできますよね。
ではやってみましょう。
- 伴奏
少しだけジャズのアドリブっぽくなってきました。
でもまだ全く同じフレーズばかりでちょっと物足りません。
そこで、今度は音を変化させてみましょう。
フレーズは同じで、以下の音のどこからどこにいっても構いません。
やりやすくするために、再度2に戻ってフレーズは全て4拍目から始めることとします。
例えばこんな感じになります。
- 講師演奏
どうでしょう?
また少しだけアドリブっぽくなったと思います。では同じように、いろんな音を使って4拍目に同じフレーズを弾いてみましょう。
- 伴奏
では第1回目の最後に、これまでの全部を使ってアドリブしてみましょう。
これまでで学んだのは、
・フレーズを4拍目からはじめる
・フレーズをランダムに配置する
・ペンタトニックの4音どれを使ってもいい
です。
フレーズを始める場所に関しては、できるだけ4拍目を意識しつついろんな場所に配置するようにしてみましょう。
では、これらを全部入れてアドリブしてみます。
- 講師演奏
どうでしょう?
かなりジャズっぽくなったと思います。
これは一例なので、この通りでなく自由に音やフレーズの位置を変えて楽しんでください。
- 伴奏
このように、段階を踏んでフレーズをジャズにしていけば何も知らなくてもいきなりアドリブすることができます。
アドリブの準備段階としてスケールやコードトーンなどを何ヶ月もやらされるよりよっぽど楽しいと思いませんか?
ジャズに興味がある方はとりあえず上記の方法でアドリブを試してみてください。
では最後に、上記4音だけを使って講師が自由にアドリブしてみます。
フレーズはかなり自由に使っていますが、使う音は4音に限定します。
たった4音でもしっかりジャズにできるということをご覧ください。
- 講師演奏
いかがでしたか?
たった4音、ジャズらしい音(テンション、クロマチックetc)は何一つ出てきませんが、それでもジャズのアドリブがはじめられるということはご理解いただけたと思います。
もちろんこれは初歩の初歩、入り口の第一歩であり、ここからいわゆるジャズらしい音使いやツーファイブ、スイングなどを学んでいきます。
でもこの入り口なら入れそうな気がしませんか?
これならできそう、自分もやってみたい、あるいはもっと先が知りたいという方は八幡謙介ギター教室in横浜へお越しください。
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