八幡謙介ギター教室in横浜講師のブログ

ギター講師八幡謙介がギターや音楽について綴るブログ。

All The Streets Are Silent レビュー


八幡謙介ギター教室in横浜

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公開

2022年

感想

90年代のNYストリートカルチャーを丁寧に回想したドキュメンタリー映画。

生粋の90年代っ子でわりと早くからヒップホップにも興味があった自分からすると『ハッ、全部知ってるわ』と思いつつ、見始めたら知らないことだらけでのめり込むように見入ってしまった。

 

まず伝説のクラブMARS。

名前だけはなんとなく聞いたことがあったけど、創業者がユウキ・ワタナベという日本人とはこれを観るまで知らなかった。

日本の音楽メディアはなぜこれをもっと取り上げなかったのか謎……。

そのMARS開業前後(80年代後半~90年代初頭)はNYのクラブではハウスが中心だったらしい。

ヒップホップは今よりも遥かにヴァイオレントな音楽とされ、実際にそうだったのでクラブでは嫌われたり禁止されていたとか。

 

一方で紹介されるのがスケートカルチャー。

こちらは元々白人のもので黒人はやらなかったらしい。

また、今でこそスケートとヒップホップは近しい存在だけれど、90年代の始めはまだ完全に分離されており、別物だったらしい。

 

ワタナベ氏はそんな別々のカルチャーをミックスして紹介できる場所としてMARSを運営、そしてDJ、ラッパー、スケーターなどに機会を与え、そこから有名になっていった者たちがあふれ出す。

また、セレブもジャンキーも黒人も白人も全く選別しなかったとか。

当時のアメリカ人にとっては衝撃だったらしく、MARSはストリートカルチャーの中心となっていった……。

こういった経営は、クリスマスを祝い、ハレの日は神社にお参り、死んだら仏になるというミックスされた文化を持つ日本人にしか出来なかっただろう。

ワタナベ氏の業績は日本でもっと知られるべきだ。

 

そうしてNYで分断されていたストリートカルチャーがそれぞれ歩み寄り、黒人もスケボーをし、白人もヒップホップシーンに参加、白人パンクバンドがラップをやり(Beastie Boys)、一般人からやや貧困層のスケーターがアパレルブランドを展開するようになった。

そして「KIDS」という映画でストリートキッズたちは突然セレブ扱いに。

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これは当時のNYのストリートシーンを忠実に描いた映画で、僕も公開当時観て衝撃を受けた印象が残っている。

出演者たちは一気にスターとなり豪遊し、破滅する者も……

そして、ただのキッズの遊びだったスケートやヒップホップは一大産業となり、単なるスケーターのための洋服(Supremeなど)は、スケートを全くしない者へも浸透、世界的な高級ストリートブランドへ……。

ストリートカルチャーと、そこで育ったキッズたちが資本主義に飲み込まれていく姿は切なかった。

 

90年代が好きな人、ストリートカルチャーをちゃんと掘り下げたいという人は絶対観ておくべき良作。

当時を知る(と思っている)40代以上も、たぶん新しい発見があるはず。

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