何度か言っていますが、僕はそもそも中学生のとき、じゃんけんで負けてギター担当になりました。
そこから30年、いつの間にかギターを生業としています。
さて、昨今はギターソロ不要論が囁かれており、若者はギターソロを飛ばして曲を聴く人が多いのだとか。
大きく捉えると、ギターヒーローが不要になってきたと言えると思います。
ギタリストはそんな時代に嘆き、なんとか食い止めようとギターソロの素晴らしさを啓蒙しようとします。
個人的にはこういった流れに「ふ~ん、今はそうなんだ」「じゃあバッキングで個性出せばいいんじゃね?」としか思いません。
時代が「いらない」と言っているんなら抗ってもしゃーないし、そもそもギターはコードを弾く楽器なのでソロがなくなったからといって需要が消滅するわけではありません。
普通の楽器として普通に伴奏すればいいだけです。
そう思えるのは、多分僕がじゃんけんに負けてギターを始めたからでしょう。
ギターヒーローがいなかったわけではないし、そもそもギターソロが楽曲のほとんどを占めるジャズギターをやってきたので、ギターソロ不要と言われれば困るといえば困るんですが、やっぱり「いらん」と言われれば「じゃバッキングすっか」と考えるだけです。
焦ったり抗ったりする気持ちが僕には分かりません。
また、ギターを始めたきっかけは置いといても、こういったことは歴史を知っていればすぐに対応策が見えてきます。
民衆が「王様はいらない」と言っているのに必死に王権を維持しようとすれば必ず潰されてしまいます。
次の時代に王の座をすんなり明け渡せば延命は可能です。
裸の王様ならぬ裸のギターヒーローとして散っていきたければ好きにすればいいですが、僕はそんなバカみたいなことはしませんし、教えません。
ヒーローの座をさっさと降りれば、プレイヤーも講師も席はまだ十分にあります。
さっさとそれを確保し、そこで求められることをやった方が有意義だと考えます。
ロマンの先には必ず死が存在する、ロマンが死んだ後には虚無が待っている……というのは文学の古典的主題ですが、ギターもようやくそういった時代が来たんだなーと感慨深いです。
ギターが本当に成熟するのはこの虚無の後、たぶん30年後ぐらいでしょうね。
僕はその辺まで見越してギタリストやってます。