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エクササイズはどんなフレーズを弾くかではなく、何のためにそれをやっているのかが大事


八幡謙介ギター教室in横浜

エクササイズについては「ギタリスト身体論」でも書きましたが、改めて。

一般的なギターの教則本では、「エクササイズ」と称して様々なフレーズやエチュードなどを掲載しています。

それらは概ね、ピッキング強化のエクササイズだとか、フィンガリングをなめらかにするためのエクササイズといった、ざっくりとした説明がなされており、そのフレーズやエチュードを弾きこなすための部分的な解説などが加えられていたりします。

しかし、こういった本のほとんどは、一番大事な部分が手つかずのまま放置されています。

 

例えば、ピッキング強化だとしたら、ピッキングの何を強化するのか、強化とはどういった意味か、その定義は?といったことが全く触れられていません。

これではいったい何のためのエクササイズか誰にもわかりません。

そして、読者はフレーズやエチュードを練習し、それが弾けたらなんとなく満足して終わりです。

 

 

上記のようなものを、僕はエクササイズとは呼びません。

中身がないからです。

筋トレでいうと、どこの部位を鍛えているのか全くわからないまま、なんとなく凄そうな運動をしている、といった感じです。

今どきそんな曖昧な筋トレをする人はまずいないと思いますが、ギターの練習ではほとんどがそうしていると言っても過言ではありません。

そもそも、エクササイズとは、明確な目的のために作り上げられたものです。

その目的が明確であればあるほど、エクササイズは作りやすくなりますし、効果も期待できるようになります。

逆に、目的が曖昧だと、エクササイズも曖昧となり、何のためにやっているのかが分からなくなってしまいます。

 

 

一般論として言うと、明確な目的ためにつくられた効果的なエクササイズは、シンプルで地味です。

逆に、目的が曖昧なまま作られたエクササイズは、やたらと派手でかっこいいものに仕上がります。

単純に、派手なエクササイズと地味なエクササイズがあり、どちらが効果があるか分からないときは、地味な方を選んでおくとだいたい正解です。

あと、失礼ながら教えた経験があまりなさそうな方で自作のエクササイズを披露している方も多いようですが、ギター講師として言っておくと、エクササイズなんてそう簡単に作れるものではありませんよ。

せめて3桁の生徒さんを教えてこないと、不特定多数の人にとって役に立つ内容なんて絶対に分かりません。

もちろん、「俺には役に立った」を根拠にそのエクササイズを世に出す勇気があれば結構ですが。

ちなみに、僕がギター講師を10年以上やってきて、作ったエクササイズはたぶん10個もありません。