DTMやレコーディングで「周波数の住み分け」という概念を聞いたことがある人も多いと思います。
これはかなり初歩的な技術でもあり、ミックスの基礎や根幹に関わる部分なので、初心者でも知っている、実践しているという人が多くいると思います。
僕はDTMはあえて全くやっていませんが、もちろんこの概念を知っており、どちらかというとバンドサウンドや楽器の音作りに応用することをレッスンで提案しています。
以下「周波数の住み分け」の基本が分かっていることを前提に進めていきます。
分からない人は調べてみてください。
僕はこれまで、イメージとして「周波数の住み分け」は図1のようなものだと思っていました。
図1
本当は棲み分けはもっと細かいのですが、今回は分かりやすいように三分割にします。
楽器でいうと、ローがベース、ミッドがギター、ハイがシンバルなどです。
さて、図1はそれぞれの周波数は被っていないものの、かなりギチギチに隙間なく領域を確保しています。
これが「周波数を住み分けられている」ということだと思っていました。
つまり、被っていなかったらOKじゃね?ということです。
ですが、最近モニターヘッドホンでいろんな音楽のミックスを聞いていると、クリアに感じられた音源は図2のようなミックスがされていました。
図2
それぞれの帯域がキュっと圧縮され、帯域と帯域の間に隙間がしっかり空いているミックス。
こういった処理がされている音源を聴くと、とてもすっきりしてクリアな印象を受けるということに気づきました。
では例を挙げてみましょう。
YOUTUBE動画を貼っておきますが、できればサブスクかCDで、モニターヘッドホンやモニタースピーカーを使って聴いてください。
各楽器の周波数のタイトさが異常。
すべての楽器がまざることなく完全に分離されている。
Steely Danも同様。
Walter Beckerに比べればやや分厚さを感じるものの、やはりそれぞれの楽器がタイトに処理されている印象。
特にベースのクリアさが目立つ。
ギターの分厚さが目立つが、よく聴くとハイハットやベース、キックなどとしっかり距離が空いている感じがする。
意外とギターのハイは削っている印象。
じゃないとハイハットがここまで抜けないはず。
各楽器の周波数帯域がかなりタイトに設定されている印象。
特にギターとベースの間にかなり隙間が空いているのが分かる。
ミックスをやる人は一度各パートの周波数を極限まで絞って、隙間が空くミックスを試してみては?
バンドマンはギターがハイミッド寄りでローカット、ベースがロー寄りでミッド以上をカットするだけで全体のサウンドがすっきりするはずです。