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アドリブする前の根回しはやめろ! アドリブが日本人に馴染まない理由


八幡謙介ギター教室in横浜

アドリブという行為やそれを主体としたジャンルは、残念ながらいつまでたっても日本人には馴染みません。

どうしてだろうとずっと考えてきたんですが、先日ふと日本人のある習慣がアドリブの習得や演奏の足かせとなっているのではないかと思い当たりました。

それは、根回しです。

意味を再確認してみましょう。

 

【根回し】

事を行う前に、関係者に意図・事情などを説明し、ある程度までの了解を得ておくこと。

 

うわぁ……w

これ、当たり前に行われてますよね。

「イントロは○小節出します」とか、「テンポはこれぐらいで」とか、ひどい場合は「ここで○○スケール使うんで」とか。

初心者の人なら「このコードで○○スケールを使ってもいいですか?」とか、「このコードでオルタードテンション入れてもいいんですか?」などなど。

 

確かに、演奏を円滑に進め、事故を未然に防ぎ、失敗したときの心理的ダメージを回避するためにはそういった根回しは重要かもしれません。

しかし…

 

アドリブはそういうものじゃないんです!

 

極論すればアドリブは、事故や事件をわざと起こして楽しむものです。

例えばみんながやりたがる「アウト」がその象徴です(もちろん、日本ではアウトも根回ししてから使ったりします)。

あるいは事故とまでいかなくても、「ここから入るのか?」「ここで終わるのか?」「なんかアウトに行ったけどこのヴォイシングで合ってるかな?えーい、弾いたれ!」といったギリギリのところを楽しむのがアドリブです。

しかし、日本人はそういったスリルをなかなか楽しめないようにできています。

ですから、事前に根回しし、イントロやエンディングのサイズ、チェンジの整合性、果ては使うスケールやテンションまで確認し合い、できるだけ演奏を円滑に進めようとします。

しかも、そうした根回しの行き届いた安定感のある演奏を、事故寸前のスリリングなものよりも上位に置いてしまいます。

そうした根回しは、アドリブという形式がもつダイナミズムのかなり革新的な部分をごっそりとそぎ落としてしまいます。

とはいえ、これは民族性なのでそうそう簡単に変わることはないでしょう。

 

これからアドリブを習得したい人や、自分のアドリブをもっとダイナミックなものに変えたい人は、とりあえず根回しをやめましょう。

もちろん、そうすることで不安になるし、事故りやすくなるし、落ち込むことも増えるでしょうが、それも含めてアドリブなのです。