フルアコ/ホロウ・ボディとは、ボディが空洞になっているギターのことです。
英語でホロウ・ボディ、和製英語でフルアコといいます。
第15回参照。
例によって各社から同じようなフルアコが販売されています。
ちなみに、フルアコは他のエレキギターと比べて歴史がやや古く、1940年代にはもう存在しています。
フルアコはざっくり分けるとギブソン系とグレッチに分かれます。
ギブソン系とはギブソンやギブソンに近いフルアコギター。
グレッチはグレッチ社のフルアコギターです(グレッチのコピー商品はあんまりない気がします)。
以下、ギブソン系とグレッチの違いを見ていきましょう。
ギブソン系フルアコは、
ハムバッカーひとつ、またはふたつ
ボディがやや分厚い
というのが特徴です。
ギブソンのフルアコが出て来なかったので、以下他社のものです。
使用ジャンルはほぼジャズに限られます。
他のジャンルでは使えないと思っておいていいでしょう。
グレッチの特徴は、
オリジナルピックアップ
アームがついてる
このふたつです。
アームがないものもあるようです。
アームなしだとちょっとグレッチっぽくない印象がします。
先に言っておくと、僕はグレッチをほとんど弾いたことがないため個人的な印象や感想は言えません(昔ちょっと弾いた記憶はあるけど、ほとんど覚えていない)。
ですので、以下は一般論です。
グレッチは80年代に人気を博したロカビリーバンドのギター/ボーカルであるブライアン・セッツァーが使用したことでイメージが決定つけられました。
このサウンド、誰もが一度は聞いたことがあると思います。
日本だと布袋さんがオマージュしたりしています。
グレッチはジャズも弾けるよと言われていますが、実際僕がジャズを始めてから現在まで20年以上、アマチュア、学生、プロ含めてグレッチを使っているジャズミュージシャンを一度たりとも見たことがありません。
もしかしたらチェット・アトキンスが最後じゃないでしょうか?
なので個人的にはグレッチ=ロックンロール、ロカビリーというイメージしかありません。
もちろん、ジャズができないわけではありませんが。
フルアコは実質使えるジャンルが限られています。
ギブソン系ならジャズ、グレッチならロカビリーやそれに近いロック。
もちろんそれ以外のジャンルで絶対に使えないわけではありませんが、ポップスやロック全般ではかなり使い辛いギターといえるでしょう。
その理由のひとつとして、ハウリングがあります。
ハウリングとは、マイクとアンプが拡声と集音のループを起こして強いノイズを出す現象です。
運動会や集会などでマイクを使ったとき「キーン」と不快な音がするアレです。
フルアコを歪ませるとそのハウリングが起こりやすくなるので、ロックには使い辛いとされています。
サウンド的にも古くさくなってしまうので、やはりジャンルは限定されてしまいます。
まあ逆にいうと分かりやすいギターではありますが。
フルアコはボディが分厚いから嫌だという人もいるでしょう。
それは実は思い込みです。
そもそもフルアコとはボディが空洞のギターなので、厚さは関係ありません。
例えば僕も使っているGibson 330やそのレプリカタイプは、ボディは薄いですがフルアコです。
以前使っていたアイバニーズのフルアコもボディが薄いタイプでした。
ボディの薄いフルアコは探せば必ずあります。
よくある質問なのでここで僕なりの見識を書いておきます。
がっつりジャズギターがやりたい人
→フルアコ、セミアコ
ジャズをやりつつ他ジャンルも同時にやってみたいという人
→セミアコ
趣味レベルで楽しみたい人
→なんでもいい
どんな音楽でもがっつりやるのならそれに適した楽器が必要になります。
ジャズギターをやるならフルアコかセミアコがサウンドとして最も適しています。
とはいえ、ギターはギターなので、安い初心者用ストラトでジャズを練習することも可能です。
最初はそうやって気軽にジャズをはじめて、もっとちゃんとやりたいとなったらフルアコかセミアコを購入するというのもありでしょう。