僕はジャズをはじめてから20年ぐらい、「マイルス・デイビス自叙伝」以外ほとんどジャズの文献を読んだことがありませんでした。
で、最近なぜかそういうのも読んでおくかという気になり、とりあえず日本人のジャズ評論家の文献を読んでみたのですが、 主観に満ちた文章や会ったことある自慢にうんざりしてすぐに処分しました。
そこで、『あ、そうか、ジャズはアメリカ人の文献を読むべきなんだ!』と思ってアメリカ人のジャズ評論家の本を読んでみることにしました。
ナット・ヘントフ「ジャズ・イズ」
レナード・フェザー「サッチモからマイルスまで」
バリー・ウラノフ「ジャズー栄光の巨人たち」
レナード・フェザーはイギリス人でしたが、他はアメリカ人です(確か)。
で、結論から言うとこれらもクソつまんなかったのですぐに処分しました。
アメリカ人でもイギリス人でも、日本人評論家よりはややましなものの、主観と自慢は結局一緒でした。
ジャズ周辺の人って結局「俺、ジャズわかってんだぜ」臭を出したがるんでしょうね……。
アメリカ人の方がそれを隠すのが上手いのは、日本人よりも若干ジャズに近いところにいるからでしょうが、本質的には変わらないということがわかりました。
ジャズという音楽は、アーティストと聴衆が基本的に断絶していて、聴衆はアーティストがいるところまで自力で登っていかないといけません。
その過程であのジャズファン独特の「俺はお前よりわかってる」感を出すようになってしまうのでしょう。
改めてわかったのは、ジャズやるのに文献なんて読まない方がいいということです。
僕がジャズで自分の考えを持ち、それを教えられるようになった一端は、間違いなく文献を読まなかったからだとはっきり自覚しました。
あんなもん早くから読んでたら間違いなくおかしなことになっていたでしょう。
どうしても情報が欲しいという人は、「マイルス・デイビス自叙伝」と「セロニアス・モンク 独創のジャズ物語」をオススメします。
どちらか一冊でも読んでおけば、ジャズの基本的なことと近代アメリカ黒人史が理解できます。
僕が自信を持ってオススメできるジャズの文献はこの二冊だけです。

- 作者: マイルスデイビス,クインシートループ,中山康樹
- 出版社/メーカー: JICC出版局
- 発売日: 1991/10
- メディア: 単行本
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興味ない人は読まなくても結構です。
結局、ジャズを理解したければ音を聴き、自分でも楽器をやってみるのが一番です。
楽器はプロになれなくても、なんとかセッションに参加出来る程度までいければ十分でしょう。
ジャズはどこまでもアーティスト側の音楽なので、いつまでも意地を張ってリスナー側に留まらずに(偉い評論家ほどそこに留まって絶対に楽器をやらなかったりする)、勇気を出して楽器にチャレンジしてみるべきでしょう。
その点でいうと、既に楽器を弾いてジャズにトライしている人はそれだけで評論家よりジャズを分かっているということです。
だから評論家の文献など読まなくても大丈夫です。