僕は17歳ぐらいからジャズに興味を持ち、これまで20年以上いろんなところで、いろんな方法で学んできました。
その結果言えることは、ジャズに関する資料は、年表とアメリカ人の書いた伝記(自伝)だけあれば十分です。
それ以外は読まなくてもいいし、読んでも特に得られるものはありません。
まず年表。
情報としては、
アーティスト名(リーダー、参加メンバー)
アルバム名
収録楽曲
リリース年月日
これらが時系列で網羅されているものが一冊手元にあれば、十分でしょう。
といっても一冊でそれらを網羅する資料はなかなかないと思いますが。
ジャズ本にそういった年表が載っていれば、中身はどうでもいいので年表目当てで買っておくと後で重宝するはずです。
なぜ年表が大事かというと、誰の後に誰が出てきたかといった流れを捉えることで、ジャズ全体が見えてくるからです。
評論やエッセイには常に主観がつきまといますが、年表は完全に客観的な事実です。
その事実から見えてくるものを頼りにジャズを知っていくのが一番堅実であると僕は思います。
例えば、ビル・エヴァンスの「Portrait in Jazz」をただ聴くよりも、彼がマイルスの名盤「Kind of Blue」の録音に参加した8ヶ月後に録音されたという事実を踏まえた上で聴くと、また感じ方も変わってきます。
まあ全ての音源をそうやって聴くのはめんどくさいですが、好きな作品があれば年表を紐解いてから聴いてみると違った発見があるはずです。
次に伝記や自伝。
自伝はいいとして、伝記は出来ればアメリカ人が書いたものを選びましょう。
といっても日本人やその他の国の人が書いた伝記は少ないでしょうが。
自伝や伝記も、ある意味年表を読むのと同じです。
この場合は単なる事実の列記として読むのではなく、人物相関図を頭に描くつもりで読むと、ジャズの世界がより鮮明に理解できるようになります。
伝記が出版されるほどのミュージシャンなら交友関係も広いので、一冊読むだけでかなりのミュージシャンの名前を知ることができます。
誰それと誰それが仲良しだったとか、誰それの方が先輩格だったとか、師弟関係にあったとか。
例えばセロニアス・モンクの伝記を読むと、名だたるジャズミュージシャンがモンクからハーモニーについて学んでいたことがわかります。
ソニー・ロリンズなども、学生時代からかなり熱心にモンクに師事したそうです。
それを知った上でモンクやロリンズを聴くとまた別の聴き方ができるようになります。
年表と伝記以外のジャズに関する資料で、役に立ったと自信を持ってオススメできるものははっきりいってありません。
近年はNetflixなどで新事実を元にしたあたらしいジャズドキュメンタリーなども公開されていますが、ちょっとマニアックで万人向けではなかったりします。