小川隆夫氏の「ジャズメン死亡診断書」という本を買ってみました。
僕は基本的にジャズの文献は読まないのですが、ジャズマニアの医師が書いた死亡診断書というところに惹かれてついポチってしまいました。
医師として書いているものだから、きっと客観的な考察に基づいていて、資料的価値もあるんだろうと期待して……。
さて、読んでみると序文で軽い自分語りから入っており、嫌な予感がしたんですが、予感は的中。
短くまとめられた各アーティストの「診断書」(といっても公式のものではなく、それぞれのアーティストの略歴と、死にまつわるエッセイのようなもの)、の中にいちいち『自分がNYで彼と遭遇したときは…』とか、『有名パトロンの誰それと話したときは…』『どこそこでライブを観たときに有名な誰それも聴きにきていて…』と自慢めいた不必要な文章が挿入されていてうんざりしました。
そりゃもちろん自慢になりますよ。
ジャズファンなら目を丸くして食いついてくるような話ばかりです。
ジャズファンにとってマイルスとしゃべった、スティットに会ったというのは、近藤勇としゃべったとか、徳川家康と会ったぐらいの価値がある体験です。
ただ、それを書きたければエッセイなどで存分にやればいい。
わざわざ「ジャズメン死亡診断書」と題して、しかも医師としてそれを執筆し、客観性、資料性を匂わせておいて自慢エッセイを書く神経がわかりません。
これ以外にもとにかく日本人のジャズ本はめんどくさいものが多くて読めません。
やたらと上から言ってきたり、決めつけたり、楽器が弾けない(たぶん弾こうともしない)から中のことが全然わかってなかったり……。
だからジャズは敬遠されるんですよね、音楽それ自体は格好いいのに……
アメリカ人の書いたジャズ本はさすがに質が高いものが多いと思われます。
今後ジャズの資料を探すときはアメリカ人の書いたものに限定しようと思います。
これからジャズについて発信していきたい人は、こういった過去のジャズ本を反面教師にすれば人気が出るんじゃないかと思います。