以前から何度かロックの衰退について書いてきましたが、最近「あ、そうか」とようやく腑に落ちたことがあったので、あらためて述べておきます。
結論から言うと、ロックが衰退したのは、その根源的なエネルギーである「悪」を排除した結果、若くてやんちゃな子を全部ヒップホップに取られたからです。
かつてロックは不良の象徴でした。
悪い人たちがバンドを結成し、悪い子たちがそれに憧れてファンになり、悪と悪のエネルギーが渦巻いて独特なシーンを形成していたのがロックです。
1980年代までは、学校がロックを禁止していたほどです(お父さんお母さんに訊いてみよう!)。
しかしそれも時が経つにつれ薄まっていきます。
僕が10代の頃は、ようやく不良じゃなくてもロックやってもいいんじゃないという空気になってきた時代でした。
でもまだどっちかというとダメな側の人間がロックをやっていたと思います。
さらに時は経ち、今やロックはいい子の音楽、親公認の音楽、オタクの音楽、ぼっちで引きこもりの音楽となってきました。
今ロックをはじめる子に悪い子なんてたぶんいないでしょう。
かつてはロックミュージシャンの不倫なんて誰も気にも留めませんでした。
当たり前だからです。
しかし今ではロックミュージシャンが不倫しようものなら活動停止、場合によってはバンドや事務所を解雇されてしまいます。
もちろんクスリや喧嘩など論外。
ロックはその根源的なエネルギーである悪を排除してしまいました。
一方、ヒップホップはどうでしょう?
よくラッパーが薬物所持で逮捕などのニュースが流れてきますが、「がっかりした」「ファンやめます」といった声はあまりなく、釈放されたり、刑務所から出所してきたアーティストはすぐに活動を再開し、ファンもメディアもそのまま受け入れているように見えます。
それどころか、逮捕されたり収監されたアーティストの方がハクがついてアーティストとして一回り成長したようにも見えたりします。
ヒップホップはまだ悪を許容し、それをエネルギーとしているようです。
かつてのロックのように……
若くてやんちゃな子が悪を排除したロックに見向きもせず、悪のエネルギーをしっかりと受け止める度量を持つヒップホップに魅力を感じるのは当たり前でしょう。
ロックが再興するためには、もう一度悪を許容し、悪をエネルギーとする必要があります。
が、少なくとも日本社会ではもうしばらくそれは許されないでしょう。
また、今のロックファンもしばらくは悪を許してくれそうにありません。
もう一つ二つ世代が変わって、新たに悪い人たちが新しくて格好いいロックをはじめたとき、それを子供が聴いていたら親が顔をしかめるようになったとき、社会がレッテルを貼って排除しようとしてきたとき、もう一度ロックは輝くのではないかと思います。
