八幡謙介ギター教室in横浜講師のブログ

ギター講師八幡謙介がギターや音楽について綴るブログ。

楽器の「鳴り」の変化を語る人が忘れていること


八幡謙介ギター教室in横浜

少し前、スガシカオさんが楽器の「鳴り」について、このようなツイートをされていて、ネットニュースにもなっていました。

 

 

この場合は「鳴り」が落ちていくというケース。

そもそも「鳴り」とはなんぞやというのはこちらで考察しています。

k-yahata.hatenablog.com

結論だけ言うと、「鳴り」とは「その人が思うギターのいいところ」です。

 

スガ氏が具体的に何を持って「鳴り」としていたかは置いておき、その「鳴り」がピークを過ぎて落ちていくばかりという現象を体験したようです。

さて、

ここにすっぽりと抜け落ちている概念があります。

それは「入力」です。

「入力」についてはこちらで書いています。

k-yahata.hatenablog.com

k-yahata.hatenablog.com

ギターは、ピッキングによって力を入力しなければ音が出ません。

また、その力が異なればギターが発するサウンドは異なります。

何が言いたいかというと、ギターの鳴りが良くなってきたとか、ピークを過ぎて下がってきたという話は、入力が一定であるという前提条件が必要となります。

そして、これは断言できますが、いくらプロミュージシャンだからといって常に一定のピッキングをしているということはありません。

僕はフォームを専門に研究してき、ピッキングについては完全に理論化し、全て把握した上で行っていますが、それでも日々変化します。

ましてや、フォームにそこまでこだわっていないギタリストは、常にフォームが微妙に変化していたり、時期によっては大幅に変わるということが起こります。

そして、フォームが1ミリでも変化すれば入力が変わり、結果サウンドが変わります。

ですから、もしかしたらスガ氏はある時期にフォームが変化し、その結果として特定のギターからいい音が出なくなったのではないかとも考えられます。

もちろん、ツイートの通りギターそのものの「鳴り」がピークを過ぎて落ちてきたという可能性もあります。

しかし後者であるとするならば入力値が一定であることが前提です。

 

このように楽器の変化を考察する場合、「入力」という概念は絶対に外せません。

私見ですが、ミュージシャンの言う楽器そのものの変化(「鳴り」が変わった云々)のほとんどは、入力値が変わった、つまり自分でも知らないうちにフォームが変わった結果であると推察します。

実際に生徒さんにピッキングを教えると、全員が必ず「自分のギターからこんな音が出るなんて…」と驚かれます。

これはギター本体の音が変わったのではなく、入力値が変わったからギターの音が変わったということです。

 

 

楽器のサウンドは入力によっていかようにも変化します。

まずはそれをしっかりと把握しましょう。