以前からブルース初心者にブルースを理解してもらうために誰をすすめたらいいかで悩んでいました。
とりあえずBBキングやバディ・ガイ、マディ・ウォーターズなどを教えたりするんですが、コテコテすぎて理解できない人もいます。
かといってクラプトンやSRVを「これがブルースだ」と教えるのも個人的には違和感があるし、できれば黒人のフィールを知って欲しい……。
と、あれこれ探しているとちょうどよさげな人が見つかりました。
それがエディ・テイラー(1923~1985)です。
最初聴いたとき、『なんか普通だなー』と感じました。
曲調、リフ、ソロなど、まるでブルースの教科書にでも出てくるような演奏で好みではなかったんですが、よく考えれば戦前、ミシシッピ生まれのコテコテの黒人ブルースミュージシャンがこんな普通に弾いてくれることってたぶんないので、めっちゃレアじゃね?と思い直し、ちゃんと聴いてみました。
数曲聴くと、その「普通」の中に黒人独特のフィールが詰まっていて、これって結構初心者が黒人のフィールを学ぶ教材になるんじゃないかと思えてきました。
たぶん今の若いギタリストが聴くと『え、なんでこんな粗いの?』『これってちゃんと弾けてんの?』と思うでしょう。
あるいはブルースをある程度かじっている人なら『この程度なら俺にでも弾けるわw』と勘違いするかもしれません。
でもこのサウンド、タッチ、タイム感、フィールはそんじょそこらの「ブルースマン」では絶対に出せません。
つまり、初心者でも分かることをやってるけど中身がめっちゃ濃いというめずらしいギタリストなのです。
ちなみにおすすめアルバムは「I Feel So Bad」です。
分かりやすさの中にコテコテのブルースフィーリングがあって、クラプトンやSRVからもう一歩ブルースの世界に踏み込むのにちょうどいい感じです。
日本にも来たことがあるそうですね。