2023年夏、前半は例年のように湿度をかなり下げ気味でギターを保管していたんですが、ネックがすぐに反って困ったので、試しに湿度60%を基準にしてみました。
するとネックのやや強いストラトは反らなくなり、一番弱いギターもだいぶ反りが出なくなってきました。
とはいえ、こちらのプロト君
こいつが乾燥にかなり弱く、湿度が下がるとすぐに反ってしまいます。
そこで試しに、一度ネック調整をしてからチューニングを1音下げにして保管してみました。
そこから数日放っておき、またチューニングをレギュラーに合わせて弾いてみると、ほとんど反っていません。
ただ、数時間弾いていると若干反り気味になってきました。
そこで、今までこいつだけは09弦を張っていたのを08に換え、そのゲージで1音下げで保管することにしました。
まだ08に換えて1日なのではっきりとは言えませんが、恐らくこれでさらに反りにくくなっているはずです。
もし逆反りしてたらとりあえず半音下げ保管にして、それでも変わらなければチューニングを下げずに保管すればいいでしょう。
たぶんこのギターは乾燥もさることながら、弦のテンションに弱いのでしょう。
裏のスプリングもそんなにキツキツではないんですが。
ネックが反りやすい(順反り)ギターはチューニングを下げて保管するというのは有効ですね。
めんどくさいけど、ネック調整とかメンテに出すほうがよっぽどめんどくさいので。
ギターを使い終わった後、適当に弦を緩めるのはNGです。
なぜかというと、各弦のテンションにムラが出てネックのねじれの原因になるからです。
適当にゆるめると1弦は半音程度、3弦は1音ぐらい、6弦は2音近く……と緩み具合に絶対ムラが出るので、めんどくさいんですがチューナーできちんと半音ないし1音下げましょう。
そうすることで、さっきまでかかっていたテンションが均一に下がります。
リペアマンやビルダーの人はよく「順反りは自然には戻らないよ」と言います。
僕も今までそれを鵜呑みにしていましたが、今回チューニングを下げて保管するのを試してみて、順反りが戻るのを確認できました。
ネックは木なんだから、条件によって順反ったり逆反ったりするでしょう。
恐らくこれもリペアマン・ビルダーとプレイヤーの感覚の違いだと思います。
恐らくリペアマン・ビルダーは反りを物理的に確認すると思いますが、プレイヤーは感覚で理解します。
この場合、たぶんプレイヤーの方が微妙な反りまで感知できると思います。
つまり、リペアマン・ビルダーでは確認できない微細な木の変化をプレイヤーは確認できる=ネックの微妙な順反り、逆反りが分かるということです。
僕はどっちかというとプレイヤーなので、ギターを弾いて「あ、ネック順反ってるな」「あれ、順反ってたのが戻った」と感じます。
その感覚でいうと、ネックの順反りは弦のテンションを下げてやると自然と戻ります。
数年前からギターを保管するのに最適な湿度を研究してきましたが、やはり以前出した「55%~65%」というのは変わりません。
この範囲がベストです。
下は50%、上は70%あたりからそれぞれネックが順反り、逆反りしはじめると認識しています。
保管方法はざっくり言うと、ギターを必ずケースに入れ、空気の動きが少ないところに置き(窓やドアの近くはNG)、クーラーなどが当たらないようにする。
これでギターへのダメージはかなり減ります。
これを日々気を付けているだけでメンテにかかる労力、お金、時間がぐんと減ります。
楽器を剥き出しにして喜んでいるのはギタリストぐらいのもんです。
そろそろエレキギターの世界にも「楽器を大切にする」という文化が根付いてほしいものです。