個人的に、ぼやきとか愚痴、ネガティヴワードについてはそこまで否定的ではありません。
以前こちらで書いたように、宮崎駿氏の口愚は「めんどくさい」だし、
葉加瀬太郎氏は毎回コンサート直前まで「やりたくねー」と思っていると何かで言ってました。
僕も本や文章を書くことは死ぬほどめんどくさいと感じ、日々ぼやきながら書いています。
ただ、絶対にNGな言葉というのは存在します。
それは「だるい」です。
一見「だるい」も「めんどくさい」も同じようですが、実は全然違います。
「面倒くさい」にはヴィジョンがあり、そしてそのヴィジョンを遂行する意思があります。
これからやる作業が明確に見えていて、それをやらないといけない、細かく、地味で、時間がかかり、そこまで評価されないのも分かっている、でもやらないといけないし、実際にやる……だから「面倒くさい」のです。
そして、「面倒くさい」と言う人は、たいていそうやってぼやきながらもちゃんと最後までやります。
一方「だるい」にはたいていヴィジョンがありません。
これからやることを緻密に把握しているのではなく、なんとなくぼんやりと全体を想像して「だるい」と言っているだけです。
また、「だるい」とは作業をはじめる前、あるいは作業の現時点での感覚しかありません。
これからの作業を想像して今「だるい」、作業をすすめてきて今「だるい」と言っているだけです。
そこに作業遂行の意思はありません。
ただただ今楽になりたいと思っているだけです。
10代の頃、一緒にバンドをやっていた人たちがいました(”バンド仲間”とはいいたくないですが、まあ一般的にはそんな関係性です)。
彼らの口癖は正に「だるい」でした。
まあつるんでいた当時は僕もその一人だったかもしれません。
その後僕は単身アメリカに行き、ヨーロッパに滞在して帰国し、また地元から活動を再開してすぐに、彼らと再会しました。
ちょっとだけしゃべってみると、彼らはまだ「だるい」を口癖として使っており、しかも10代の時よりも酷くなっている感じがしました。
その時僕は彼らを心から軽蔑し、こんなやつらと地元でうだうだつるんでなくてよかった、世界を見てきてよかったと自分の決断の正しさを確信しました。
その後彼らが音楽的に成功したという話は一切聞きません。
恐らく40半ばになった今でも「だるい、だるい」と言いながら地元で中学時代のツレとバンドをやっているか、もしかしたら「バンドだるい」と活動を辞め、あんなに熱中していたものを今度は冷笑し、見下しているのかもしれません。
僕にはもう一生関係ないひとたちなのでどうでもいいですが。
余談ですが、こちらで書いたA君もこの中の一人です。
彼だけはほんの少し違っていましたが(僕に教えてほしいと言ってきたぐらいなので)結局本質的にはあっち側の人間でしたね。
つるむ相手を間違ったのでしょう。
改めて考えると、プロミュージシャンは「面倒くさい」は誰でも言いますが、「だるい」と言う人はいません。
プロから「だるい」という言葉を聞いた記憶がありません。
どんなに仲が良くてお互い愚痴を言い合える関係性でも、やはりプロは「だるい」は絶対に言わないですね。
これは音楽だけでなく、スポーツ選手なんかもそうではないでしょうか?
恐らく「だるい」という言葉が相当人間に悪い影響を与えるのでしょう。
仮に今駆けだしで「だるい」が口癖の人がいたら、気を付けた方がいいでしょう。
たかが口癖と甘くみていたら、自分がその言葉に飲み込まれて没落していく可能性があります。
ただし人はどうとでも変われるので、その口癖をやめればちょっとずつ自分の意識や行動が変わってくるはずです。
また、周りの口癖が「だるい」の場合も気を付けた方がいいです。
その集団がそのまま上に行くということは絶対にないと断言してもいいでしょう。