そういえば昔からずっと気になっていたことがあります。
それはギターの「サステイン」について。
ギターをやっている人なら初心者でも知ってるとはおもいますが、「サステイン」とは音がどれだけ伸びるかを指すギター用語です。
英語の「sustain」は「持続性」という意味ですが、ギターそのものの持続性(何年使えるか等)ではありません。
ただ、ギターの品質に対する評価基準の一つとして、「鳴り」や「レンジが広い」などと並んで「サステイン」=音の伸びは必ず挙がります。
まあ確かに音がすぐに途切れるよりはしばらく鳴ってくれた方がいいのはいいんですが、長ければ長いほどいいのか?じゃあそれが何の役に立つのかというと、イマイチわかりません。
クラシックギターならまあ分からなくもないです。
独奏することも多いし、クラシック独特の余韻を表現するためにはある程度のサステインがあった方がいいでしょう。
ただ、エレキギターでそこまでサステインが求められるかというと、微妙です。
もちろんそういったプレイはありますが、それよりもエレキギターは比較的音を歯切れよく切ってリズムにキレを出すことに美点があります。
あと、歪ませたらサステインは足されますしね。
じゃあ「サステイン」って一体何なんだというと、ビルダー・リペアマン視点でのギターの指標なのではないかと改めて思いました。
同じギターを扱う人間でも、プレイヤーとビルダー・リペアマンでは視点や尺度が全く違います。
プレイヤーからすると全然弾けるギターでも、リペアマンに「弦が死んでる」「フレットガタガタ」などとあれこれ指摘されて『え、そうかなあ…』と首を傾げた経験は誰でもあると思います。
また、リペアマンの言う通りにリペアしたらなんか味がなくなった、前の方がよかったというケースもよくあります。
それはリペアマンの腕が悪いのではなく、リペアマンはあくまでモノとしてのギターを修理・改善しており、プレイヤーはそこから出てくる音楽やフィーリングを大事にしているという点から生じるすれ違いです。
「サステイン」も恐らくその一つでしょう。
ビルダー・リペアマンからするとサステインが長いギターがいいギター、でもプレイヤーからするとそこまで重要な指標ではない……。
まあ制作側が「サステインが長いギターはいいギターだ」と言うのは、ビルダーやメーカーのこだわりなので別に構いません。
ただ、それが売り文句になり「サステインが長いギターはいいギターだ、だからこれを買え」となると問題です。
これは「レンジが広いギターはいいギターだ、だから買え」というレトリックと同じです(レンジが広いギターは実用的なギターではありません)。
やたらと「サステイン」推しでギターを売ろうとする人は疑いましょう。
あと、「サステイン」プレイとして重視していない人はこれをギター選びの基準から外しても大丈夫です。