譜面の一番左にこのような記号が書いてあるのを見たことがある人も多いと思います。
- ト音記号(G Clef)
五線上のG音(ソ)の場所を示すための記号。
主に高音部楽器に用いられます。
下から二番目の線がG(ソ)の音ですよという意味です。
- ヘ音記号(F Clef)
五線上のF(ファ)の場所を示すための記号。
主に低音部楽器に用いられます。
黒玉の位置がF(ファ)の音ですよという意味です。
といっても、それぞれの記号をチャチャっと書けばそれだけで意味は通じるのであまり厳密に捉えないで結構です。
ベースも含め、バンドの全パートが見る共通の総譜(リードシート)にはどちらを書けばいいのでしょうか?
答えはト音記号です。
そもそもポピュラーミュージックではコードを頼りに演奏することがほとんどなので、譜面にびっしり音符を書き込むということがあまりありません。
ですので、音部記号はほとんど飾りになっています。
仮にメロディを書き込むことがある場合はベースのみヘ音記号を書いておきましょう。
さて、とりあえず譜面にはト音記号を書くことが分かりました。
で、全段書くの? それとも初段のみ? と迷う人もいるでしょう。
これはいくつかチョイスがあります。
- 全段書く
正式には、譜面の全段の一番左に必ずト音記号を書きます。
厳密に言うと、音部記号がないと五線のどこがどの音なのか分からないということになります。
- 初段のみ書く
人間はアホではないので、初段に音部記号を書いておけば自動的に『この譜面ではずっとこの音部記号でいくんだな』と勝手に判断してくれます。
個人的には初段のみ音部記号を書くことを推奨します。
ですが、たまにクラシック上がりの人などで音部記号がないとパニックになる人もいるので臨機応変に対応しましょう。
アプリで全段に自動的に音部記号が付く場合はそのままで結構です(そういったところがアプリの魅力ですね)。
- 書かない
ポピュラーミュージックでコードのみを頼りに演奏する場合、音部記号がなくても成立します。
従って、音部記号を書かないという選択肢もありっちゃありです。
個人的には若干気持ち悪いというか、締まらない感じがします。
譜面に慣れるためにも初段だけは音部記号を書くようにしましょう。
音部記号の書き方は正式にはこんな感じです。
①G(ソ)音の上から半円を描く。
②そこからぐるりと渦巻き状に円を描く。
③円の真上あたりで大きく折り返して円の中心に一本線を引く。
僕も大学生の頃は真面目くさってちゃんと書いてましたが、慣れたら下記のように適当になっていきます。
べつにこんな適当でもそこまで問題はありません。
五線譜の初段の一番左にそれらしき記号があれば普通はト音記号だと認識してくれるので大丈夫です。
ある意味、音部記号が適当になってきたら譜面に書き慣れてきたと思っていいでしょう。
もちろん、綺麗に書いてあるに越したことはありませんが。
調号とは、楽曲の調(キー)を示す記号のことです。
譜面の左に♯や♭がびっしり書いてあったりするのを見たことがあると思いますが、あれです。
一例を挙げると、
キーE♭(Cマイナー)
キーA(G♯マイナー)
キーについては本シリーズの主題ではないので書きません。
さて、例えばキーAの調号があるとしましょう。
この場合、「五線上のCとFとGには♯が勝手につきますよ」という意味になります。
問題は、段落が変わったときにどう捉えるかです。
この調号にもいくつ書くか問題があります。
- 全段に書く
正式には調号は全段に書きます。
例えばキーF(Bに♭が付く)で初段だけ調号を書いておき、二段目から調号なしだと、そこからBは♭しないと判断できるので。
もちろん暗黙の了解で初段の調号がずっと続くとほとんどの人は自動的に理解しますが。
- 初段のみ書く
ポピュラーミュージックでは初段のみ調号を書くのが普通です。
個人的にはこちらをおすすめします。
アプリで自動的に全段に調号が付く場合はそのままで結構です。
- 書かない
そもそも調号を書かないことも可能です。
キーはコードを見ていれば分かるし、音符も書かない事の方が多いので。
ただ、やっぱりちょっと気持ち悪い感じはあります。
音部記号はわりと適当でも通じますが、調号は「この音が♯する」「この音が♭する」という説明になるので、厳密に書きましょう。
まあ、数で分かるっちゃ分かるんですが……
例えばキーFならBの音に♭1個付くだけなので、初段に♭記号が1個あれば『キーFだな』と判断できます。
だからといってB以外の場所に♭が付いていると混乱します。
こちらはしっかりBの線に♭が書かれてあります。
これだとどの音が♭なのか分かりません。
「♭1個だからいいじゃん」では通用しません。
余談ですが、書いていてふと思い出しました。
初段しか調号を書かない場合に、このような記号を付けることもあった気がします。
これで「この調号が以後ずっと続きますよ」という意味になります。
もしかしたらローカル記号かもしれないのでそこは自己責任でお願いします。