では五線に小節を引いていきましょう。
実はここにも暗黙のルールや読みやすくするための工夫が詰まっています。
厳密なルールではありませんが、譜面は原則1段4小節です。
たまに5小節とかになることもありますが、できるだけ1段4小節にまとめるようにしましょう。
以下、その理由。
・小節が多いとロストしやすい
1段に8小節とか書いてあるとロスト(見失うこと)しやすいので嫌です。
上は8小節、下は4小節。
どっちが見やすいかは一目瞭然です。
・4小節の方が音楽の流れに合ってる
ポピュラーミュージックはだいたい4小節区切りで変化していきます。1段4小節の方が音楽の流れと譜面がリンクするので読みやすくなります。
プレイヤーの感覚でいうと、1段に8小節分の時間留まっていることがものすごく停滞感を感じてやりにくいです。
・セクション記号が変なところに来るから嫌
1段に小節を詰め込むスタイルだと、セクション記号が段の真ん中とか終わりの辺りに来たりするので嫌です(後述)。
・メモを書くスペース
仮に採譜者の方で五線に音符を一切書かないとしても、プレイヤーが何かメモを書きたい場合もあります。
1段にたくさん小節を詰め込むとその分1小節の幅が極端に狭くなり、書き込みができなくなります。
プレイヤーのことを考えて1小節に十分なスペースを与えましょう。
とはいえ、プロの人でも1段に小節を詰め込む譜面を書く人もいます。
それはそれ、変に真似したり「あの人がやってるから」と免罪符にせず、悪い例として反面教師にしましょう。
手書きで小節を振るとき、1段4小節を定規で測ったようにきっちり等間隔で書く人がいますが、実はこれ、意外と見づらいこともあるんです。
こちらは1段に等間隔で小節を引いたもの。
1小節はおおよそ50㎝です(A4サイズ)。
ご覧の通り、1小節目に音部記号、拍子記号、調号が書かれてあり、その分1小節目だけ詰まって小節が圧迫されています。
等間隔で小節を引くとこうなるので、1小節目だけやや広くとっておくのが実践的な小節の引き方となります。
ちなみに、
こちらの五線譜には目盛りがついています。
この黒矢印に沿って小節を引くと1小節目がやや長めになるよう設定されています。
他の五線譜もそうなんですかね?
まあ正直、1小節目をどれぐらいの長さで書きたいかは曲にもよるし、音部記号すら書かない譜面だと等間隔の方が良かったりするのでイマイチ使いにくいというのがリアルな意見ですが。
小節の下に小さく番号が振ってある譜面があります。
これは最初から数えてその小節が何小節目かを記したものです。
リハーサルのときなんかに「25小節のところで…」と言ってぱっと探せるようにするためのものです。
これも書く/書かないは自由です。
ざっくり言うと、短めの譜面なら普通書かないし、長いと書いた方がリハがスムーズに進められます。
ボーダーラインとしては、12段1ページに収まる譜面(30~40小節程度)なら小節番号はいりません。
それ以上の場合はあった方がいいかもしれません。
ただし、全小節に書いてあると邪魔なので、要所要所に振るだけにしましょう。
おすすめは各段の最初にだけ番号を振っていくやり方。
このように、小節の下、目立たないぐらい小さく書くことが多いです。
まあ分かりやすい曲だと最初から最後まできっちり1段4小節で区切れたりするので、そういう場合はいらないかもしれません。
いずれにせよ、大事なのは読みやすさです。
楽曲、ミュージシャン、用途などによって臨機応変に対応しましょう。
意外と忘れがちなのがセクション記号です。
バンドスコアなどを見ると、□の中にAとかBとか書かれてあるのが分かると思います。
これは「今Aセクションだよ」「ここからBセクションになるよ」と示しています。
いわゆる「Aメロ」「Bメロ」の語源でしょう。
これもいろんな書き方があったりしますが、まずは基本的なところだけご説明します。
セクション記号はアルファベットを使います。
ただ記号だけ書いてあるとコードと見間違う可能性があるので必ず□の中に書きます。
セクション記号は必ず大文字で書きます。
小文字で書くことはありません。
セクション記号は大きく書きましょう。
小さいと分かりにくいです。
これはミュージシャンからのお願いなのですが、セクション記号は譜面の左詰め、つまり各段の1小節目のところに書いてください。
段の途中だとなんとなく分かり辛いし、ロストの原因になります。
こちらは4小節目にBセクションに移行していることになります。
これならこの段を3小節にして次の段の1小節目からBセクションにした方が読みやすいです。
この辺はまた曲に沿ってご説明すると思います。
基本セクションはアルファベットで進めていきます。
Aセクションの次はBセクション、C、D……と。
イントロがあれば□の中にINTROと書きます。
これはカタカナでも別に構いません。
ただし「サビ」とは絶対に書かないので注意しましょう。
一般的な「サビ」は大体CかDになります。
問題は繰り返しの際どう表記するかです。
例えばAからDぐらいまで進んで、そこから2番に入り、またAと同じメロディ、演奏になるとしましょう。
これをEとしてもいいし、A'とすることもあります。
また、記号で譜面の頭に戻るときもあります(その際は既に振ったセクション記号を保持)。
結局これも、どう表記すれば一番読みやすいかで変わってくると思います。