先日、久々に音楽番組の特番を観ました。
その中にある中堅アーティストが出ていて、20年近く前のヒット曲を歌っていたのですが、歌が始まった瞬間「え?」と絶句しました。
J-POPにありがちな元気を与える系の曲なのですが、全然元気がなく、誰がどう見ても気持ちが入っていません。
「もう厭きてるやん…」
というのがありありと分かります。
僕は観ていられなくなり飛ばしました。
ファンの人はどう思ったんだろう……
ただ、個人的には「ちゃんとやれよ」という怒りではなく、「かわいそう…」という哀れみ(皮肉ではない)の感情が湧いてきました。
良くも悪くも売れてしまったが故にそのヒット曲に縛られ、どこへ行っても、何をやっても結局その曲を当時と同じように歌わされる苦痛……
それでもまだ求められていることの安心感と責任、一方で成長・進化することを拒絶されている憤り、諦め……
売れるって本当に大変なことなんだなあとしみじみ考えてしまいました。
音楽で売れたい人は、同じ曲を、同じアレンジで、同じキーで、同じテンションで、同じ衣装でこの先30年40年とやることを一度想像してみましょう。
それにワクワクできる人は売れる準備は整っています。
いや、さすがに……と眉をひそめた人は売れない方が楽しく音楽をやっていけるかもしれません。
個人的には完全に後者で、件の音楽番組を観て改めて売れなくてよかったとほっとしました。
負け惜しみに聞こえたらそれはそれで別にいいです。
同じことを永遠にやらされるぐらいなら、好きなようにギター教室をやってる方が楽しいですしね。
余談ですが、僕が小説を書く理由は、売れても売れなくても同じことを繰り返さなくていいからです。