八幡謙介ギター教室in横浜講師のブログ

ギター講師八幡謙介がギターや音楽について綴るブログ。

準備してから動くか、先に行動してから準備するか


八幡謙介ギター教室in横浜

先日、何かにチャレンジしたいとき、入念に準備してから動いた方がいいのか、それとも準備が不十分でもすぐに行動した方がいいのかという相談がありました。

こういった悩みを抱えている人も多いと思うので、僕なりの見解をここでシェアしておきます。 

 

結論から言うと、まず行動するべきです。

なぜかというと、現場で体験しないと分からないことが多いからです。

特に、その場の空気感は現場に立たないと絶対に分かりません。

まずはそれを知るために行動しましょう。 

 

準備もそこそこに、あるいはほとんどなしで行動すると、十中八九失敗します。

最初はもうそのつもりでいましょう。

変に成功体験を期待すると準備に不要な時間がかかったり、最初の失敗でもう心が折れたりします。

だから、1回目は失敗しに行くつもりで勇気を出して行動しましょう。

中には失敗したらそこで終わり、もう先が断たれる、未来がなくなる……と考えてしまう人もいるでしょうが、初心者がはじめての体験で失敗するのは当たり前のことなので、よっぽど失礼なことをしたり損害が出るようなことをしないかぎり、世間やその界隈の人は特になんとも思いません。

むしろ可愛いなと感じ、愛嬌があれば助けてあげたいと手を差し伸べてくれる先輩や先達も出てくるでしょう。

 

失敗前提でとりあえず行動し、体験してみることで、実は大きなメリットがあります。

それは、本当に必要なことが見えるということです。

僕の例でお話しましょう。

アメリカ留学が決まってから、当然英語を習いにいきました。

留学までそれなりに頑張って勉強していました(先生は日本人)。

そして実際にアメリカに到着してから、自分が勉強してきた英語が全く通用しないことが判明しました。

アメリカ人の早口の英語が全然聴き取れないのです。

また、日常的に使う略語やスラングなんかも日本では全く教えてもらえませんでした。

結局アメリカに移住してから本当に自分に必要なことがわかり、それを改めて勉強しなおしたように記憶しています。

結果的に、準備なしで渡米したのと同じです。

 

アメリカに行ってからは考え方が変わり、必要最低限の準備ができていれば行動するようになりました。 

 

とはいえ周到に準備することもそれはそれで必要な気がしますが、実はここに複雑な心理が潜んでいる可能性があります。

それは、行動しない・したくない理由を正当化するために準備している可能性です。 

何かに興味があり、やってみたい、行動したい、でも怖い、失敗したらどうしよう、挫折したらどうしよう……。

誰でも考えることです。

やりたい、けどやりたくない、でもやりたい……この状況を延々と先延ばしにするために「準備」という時間を設けている人もいるでしょう。

「準備」することで、やりたい自分をなだめ、やりたくない自分を正当化できるからです。

そして、その準備が長引けば長引くほど行動しない理由が増え、行動するデメリットが目立ってき、結局最後まで何もしないという結果になってしまいます。

大人になればなるほど行動しないことのメリットをずるく計算できるようになるので、準備が長引くほど動けなくなるような気がします。

 

行動か準備かで迷っている人は、別のアプローチで現場に入る方法を探してみましょう。

例えば何かの大会にエントリーする場合、最初は観客として見に行くとか、留学を考えているなら先に短期旅行だけしてみるとか、短期留学プログラムなどにエントリーしてみるなど。

そうして現場に足を踏み入れてみたとき、何か発見できたり自分の心が動いたりして、次の一歩につながってきます。

第三者、見学者として現場にいくことすら躊躇するのであれば、たぶんもう自分にとってその業界は向いていません。

それを自覚するのが怖いからいつまでも準備をして本題を先延ばししているのでしょう。

 その場合は、準備なしでも行動できる、したいと思う対象を改めて探しましょう。

 

「準備」にはある種の心地よさがあります。

一方で夢に向かっている充実感と、もう一方ではまだ行動しなくていい安心感、競争や挫折や不安に対しまだ傍観者でいられる特別感が存在します。

その心地よさに浸ってしまうと、抜け出せなくなる可能性があります。

そういえば音大でもモラトリアム期間を存分に楽しんでいる人達がいっぱいいましたが、片っ端から消えていきました。

そりゃそうでしょう。

今すぐにでも行動するべきときに遊んでいたんですから。

 

今何かを準備している人で、その状態をどこか心地よく感じているとしたら、ちょっと危ないかもしれません。