八幡謙介ギター教室in横浜講師のブログ

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八幡謙介ギター教室


小さなプライドにしがみついてチャンスを棒にふった人の話


八幡謙介ギター教室in横浜

同級生で僕より先にギターをはじめたやつがいました。

仮にAとしましょう。

Aは地元の音楽仲間からはそれなりに一目置かれており、常々「俺にはギターしかない」といったようなことを公言していました。

ただプライドが高く、恐らくそのせいでギターや音楽を真摯に学ぶという姿勢が欠如していました。

一方僕は学ぶのが好きだったので真面目に音楽に取り組み、技術や知識は簡単にAを追い越していました。

たぶんそのせいか、Aも含めて周りは僕を見下したり、過剰にいじるようになっていきました。

たぶん力をつけていた僕に焦っていたのでしょう。

その辺は拙ブログ「バンドクラッシャーの見分け方」に書いてあります(Aはクラッシャーではありませんが)。

 

さて時は経ち、僕はアメリカ留学からヨーロッパ滞在を経て帰国し、地元で教室をはじめました。

するとわりとすぐにスタッフさんから「Aという人から連絡がありましたよ」と伝達が。

電話してみると、話が聞きたいとのことだったので、歩いて10分ぐらいのAの家に数年ぶりに遊びに行きました。

簡単に言うと、音楽留学を経た僕にギターが習いたいとのことです。

正直、驚きました。

プライドの高いAが昔はさんざんいじったり下に見ていた僕からギターを習いたいと言ってくるとは夢にも思いませんでした。

『こいつも成長したんだ…』と、感動すら覚えました。

ただ、その場でも若干昔のように僕のことをいじったり、ややマウントを取ろうとしてきたのが気になりました。

「お前はアメリカに留学したかもしれんが、俺だって負けてねーんだぜ」といった空気をバンバン出してきます。

あと、音楽やギターについて口にする言葉が中学生のときと変わってないことに内心驚きました。

 

 

そしてAは教室に来ることになりました。

そもそも友達なので、和やかな雰囲気でレッスンは進行していったのですが、すぐにAは「いや、俺はそこはこう思う」「それは違うんちゃう?」「今の間違ってない?」などと反抗してくるようになりました。

どうやらプライドが邪魔をして素直に僕の教えに従えないようです。

めんどくせーなと思いながらも、こちらもまだレッスンをはじめたばかりなのでそういった生徒さんへの対処が分からず、たぶん中途半端な態度で接していたと思います。

するとAはある月の初回レッスン直前に突然辞めると言いだしました。

当時月謝をレッスン初日に当日払いでもらっていたのですが、未払いです。

恐らく月のレッスンが始まる直前に行きたくなくなり、月謝の支払いが惜しくなったのでしょう。

同級生に金を払って教わることも、もしかしたら最初から抵抗があったのかもしれません。

当然苦情を言ったのですが、Aはなんの悪びれもなく、何の話してんのこいつといった応答だったので、『あ、もうこいつねーわ』と切りました。

 

手前味噌ではありますが、僕からレッスンを受けるのが年齢的にもAにとって成長する最後のチャンスだったと思います。

それを自分で分かっているからこそ自ら教えて欲しいと打診してきたのでしょう。

しかし、結局小さなプライドが邪魔をしてAは自分を変えることに失敗してしまいました。

僕は迷惑をかけられたのでAとは縁を切り、その後一切消息は知りませんが、たぶん今も地元にいて、ギターがちょっと弾けるプライドだけやたら高いおっさんになっているでしょう。

 

 

これだけ読むと、お前がここぞとばかりに上から接したんじゃないの?と思う人もいるかもしれませんが、それは絶対にありません。

そもそも友達だし、いじられていたとはいえ僕はAがそこまで嫌いではありませんでした。

だから自分が持って帰ってきた知識や経験、技術を全部Aに教えてあげようと思っていました(もちろん他の生徒さんにも)。

何より、ちゃんと頭を下げて教えを請うてきたことに感動したんです。

それだけにAの一連の振る舞いがとても残念でした。

小さなプライドさえ捨てることができれば10代でちゃんと音楽を勉強し、ミュージシャンになれたかもしれないし、もしかしたら僕の元で2~3年一生懸命頑張って30代でぎりぎり間に合っていたかもしれないのに。

 

偏見を承知で言うと、こういった小さなプライドのせいで成長できない人は田舎に多いです。

地方や田舎というのは独特の人間関係があり、その中で早くから恩恵を被っているとそれが心地よくなってしまい、そのシステムから身も心も出られなくなってしまいます。

夢や目標があるのに、なぜかそれを叶えることが不可能な地元からいつまで経っても出ない人は、出ようとすらしない人はそういうタイプです。

地元から出たら自分のプライドがズタズタに壊されることを知っているのでしょう。