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好き=全肯定する義務、嫌い=嫉妬……みたいな構図が理解できない


八幡謙介ギター教室in横浜

何かを好きというとそれを全肯定しないといけない義務を課したり、嫌いというと「嫉妬してる」と言う人がいますが、理解できません。

例えば僕はアイドルが好きですが、アイドル文化の全てを肯定しているわけではありませんし、嫌いなグループもたくさんあります。

また、以前書きましたがゲイリー・ムーアが嫌いですが、それは嫉妬とは何の関係もありません(むしろあんな風に弾きたくない)。

k-yahata.hatenablog.com

Still Got the Bluesは良い曲だと思いますが。

 

好きなアーティストや楽曲、ジャンルに対して、好きだからこそ嫌いな部分があるというのは当たり前だと思うのですが、どうしてもこれが理解できない人がいるようです。

物事を0か100か、白か黒かで考えるとある意味楽にはなりますが、僕はその単純さが退屈に感じ、だんだん好きが義務になってきて窮屈に感じてきます。

「○○のここは好きだけどこういうところが嫌い」と考えるのは、ある意味矛盾しているし、その矛盾を持ち続けるのは苦しいのですが、僕にとっては好き=100という単純さやそこから発生する義務よりはまだ楽しいです。 

 

一方、「○○が嫌い」といったり、批判すると、嫉妬だと言う人がいます。

特に、ミュージシャンがあるミュージシャン(それも近しいジャンルの人)を嫌いと言ったり批判したとき、必ずといっていいほどこういう意見が湧いてきます。

これも全く理解できません。

嫌いという感情は全て嫉妬から生まれるものではありません。

好きだからこその嫌いもあるし、社会悪に対する公憤もあります。

不倫した男性を女性が嫌う場合、嫉妬とは全く関係ありません。

男性が、男に愛想を振りまいて同性に冷たい女性を嫌うのも嫉妬ではないでしょう。

もっと根源的な、説明できない嫌悪感みたいなものもあります。

嫌いという感情には、数え切れないほどの要因が絡んでいるはずです。

それらを紐解こうとせず、「嫌い=嫉妬でしょww」と簡単に結論付けてしまうネット脳、SNS脳が、僕には哀れに思えてなりません。 

 

極論すれば、好き=全肯定、嫌い=嫉妬みたいな単純な思考の人には芸術はできません。

得てしてこういった人の方が音楽や小説が好きだったりするのですが(思考が単純だから人より楽しめるのかもしれません)、その単純さ故に、作品の奥にある何かや、その芸術文化が持つ本質を掴むことはできません。

ギターで言うと、「ペンタにブルーノート足せばブルースになる」と本気で思ってるような人のことです。

 

もちろん芸術の中にはシンプルなものも沢山ありますが、そこには必ず文脈があったり、複雑さを突き詰めた果てのシンプルだったりします。

単純な人はその文脈やシンプルの奥に見え隠れする複雑さが理解できないので、表面だけさらっとなぞって「なんだ、こんなもんか!じゃあ自分にもできるわw」と舐めてかかり、必ずどこかで挫折します。

そこで好きの中にも嫌いがあるといったことに気づければ乗り越えられるかもしれませんが、ほとんどの人は無理でしょう。

そうなりたくなければ、まずは好き=全肯定、嫌い=嫉妬といった単純で乱暴な構図でものごとを見ないよう訓練していくことです。

それはそれで苦しくて時間がかかることなのですが、意義はあります。