ここ数年横浜ギター教室では、ギター以外の人にジャズを教えることが増えてきました。
そうした他楽器へのレッスンでよく感じることは、サックスならサックス、ギターならギター、ピアノならピアノに適したアドリブがあるということです。
分かりやすいところでいうと、ギターにはペンタが一番適しています。
サックスで吹くペンタフレーズとギターで弾くペンタフレーズでは味が全然違うし、ギターの方が合ってる気がします(まあフレーズにもよりますが)。
一方、サックスのようなフレーズをギターで弾いても「なんか違うなあ…」となることが多いです。
ジャズでは、意外と自分と同じ楽器を聴かない人が多かったりします。
そういえば僕もジャズギターよりサックスをよく聴いていました。
ある時期まではサックスみたいな流麗なフレージングがいいものだと思い込んでいました。
また、ジャズギタリストは必ずといっていいほどピアノみたいなヴォイシングをしたがります。
専門的にジャズを学べば学ぶほどそちらに向かっていく傾向があります。
個人的には学校を卒業してからずいぶん経って、そういったことが虚しいことだと分かりました。
そうしてある種の役割論にたどり着きました。
ギターはギターの役割、ピアノはピアノの役割、管楽器は管楽器の役割がある。
それを知り、その役割を全うすることで音楽がよりよくなる。
そこから改めてアドリブやヴォイシングを構築していくと今まで見えなかったものが見えるようになってきました。
それを現在レッスンで教えています。
ある程度本気で音楽をやりたければ、一度自分の楽器が何を求められているのかを考えてみましょう。
自分が何がやりたいかではなく、自分に何を求められているかでもなく、自分が弾いている楽器に何が求められているのかです。
楽器に対して一度個を完全に滅すると、それが見えてきます。
そこから改めて音楽を構築していくと、ひとりよがりでない、調和の取れた本当の個性が生まれてきます。