ギターを教えていて最近気づいたことがあります。
それは、フィンガリング(運指)を加算式で行っている人がいるということです。
加算式フィンガリングとは僕が作った言葉ですが、押弦する度に弦への圧力が加算されていくフィンガリングのことです。
例えば、1弦1Fを人差し指、2Fを中指、3Fを薬指、4Fを小指で押さえていってください。
このとき、人差し指で1Fを押さえ、その力をそのまま残して中指で2Fを押さえ、人差し指と中指で押弦している力をそのまま残して薬指→小指と押さえていませんか?
それが加算式フィンガリングです!
加算式フィンガリングでは、押弦すればするほど力をどんどん使い、それがキャンセル(=脱力)されることがほとんどないため、恐ろしいほど無駄な力を使うこととなります。
その結果簡単なフレーズでも運指が追いつかなかったり、すぐに疲れたりと様々な弊害が起こります。
そこで次のようなフィンガリングに矯正します。
同じく1弦1F、2F、3F、4F、と押さえていきます。
まず人差し指で1Fを押さえた後、一度人差し指を脱力します。
すると人差し指が弦からふわっと浮いていくはずです。
そこから2Fを中指で押さえます。
このとき人差し指は弦から浮いています。
いま現在力を使っているのは中指だけです(親指も多少裏から押している場合もありますが、今回はパス)。
2Fを弾いたらまた中指を脱力し、ふわっと浮かせます。
その後3Fを薬指で押弦。
また脱力して浮かせ、4Fは小指。
このように、弦を押さえる指だけ力を使い、他の指はしっかり脱力しておくと、疲労感や指の動き(速さ、なめらかさ)が全然違ってきます。
もちろんこれはどんな場面でも応用できます。
最初はゆっくりゆっくり、いちいち押弦を解除(脱力)しながら弾いていき、慣れてきたら速く弾いても使わない指を一回一回脱力できるようになります。
速弾きなどはこれができないとかなり苦しくなるでしょう。
まあ若い子は力で押し切ることもできるかもしれませんが……長くギターを弾いていたいのなら、早いうちにそういったパワープレイは矯正した方がいいでしょう。
20代後半ぐらいになって、「あれ、前はこのフレーズすらすら弾けたのに、なんか最近運指がついて来ないな……」と感じる人は、もうパワープレイができなくなっています。
元気は人は30代までそれでいけるかもしれませんが、40過ぎたらまず無理です。
そこまで見越して、できるだけ早くからこういった脱力を身につけていくことが大切だと、僕は10年前から言っています。
(こういった考えは最近かなり浸透してきているようです)
加算式フィンガリングを治したい人は教室まで。
左手が驚くほど軽くなりますよ。