2021年、小山田氏が東京オリンピックの開会式の音楽担当となったことをきっかけに始まった大炎上騒動を総括した書。
僕も当時リアルタイムで追っており、ブログ記事がバズったことからこれは物書きとしてちゃんと向かい合わねばと考え、いじめの記述のある雑誌をフリマで買い、何度か追って記事にしました。
今回上記の本が出ていることを知り、早速ポチ。
内容としては、小山田炎上騒動をその後も追っていた人なら知っていることで、特に新事実はありません。
ただ、小山田氏が通っていた和光学園の校風や、彼の出自、学生時代の人となり、フリッパーズギター時代、その後のソロ活動、炎上時の生活や心境、炎上後などなどが生々しく書かれてあり、一読する価値はあります。
個人的には90年代初期における音楽ジャーナリズムの裏側を知れたことが収穫でした。
分厚いですが読みやすいです(やや重複する箇所が多いけど)。
個人的には著者の立ち位置が気になりました。
かなり小山田寄り。
読後「小山田君は悪くない!」という後味が甘ったるいお菓子のように残ります。
もう少し冷徹な視点でフラットに書けば、「ネットと人間」「ネットと日本人」といった分野で歴史に残る名著になった気がします。
とはいえ、この件について再考するにあたり、改めてメディアの醜悪さ、そしてタレントやコメンテーターのいい加減さ、日和見加減などを知ることができたのが収穫でした。
本文には田村淳やブラマヨ吉田などのコメントが引用されています。
彼らは間違った情報を元に小山田氏を犯罪者扱いし、その後謝罪もしていないようです。
モーリー氏に至っては事実と違う内容をツイッターでわざわざ英語で本件を世界に広めています。
その他各メディアも再検証や謝罪などはしていないようです。
また、SNSユーザーも小山田氏炎上の件から何も学ばず、その後も空気と思い込みで叩いていい人間を総叩き、潮目がきたら何もなかったかのように知らん顔。
最後に小山田氏が「今はまだネットを通じたコミュニケーションをみんな学習している最中」と言っていたのが印象的でした。
本当にそうなんでしょう。
僕もこれからネット、特にSNSとはできる限り距離をとりつつ、気をつけて学んでいきたいと思いました。