今回はギターの運指(フィンガリング)で脱力する方法をお教えします。
どんな場面でも使えるので今弾いている曲で試してみてください。
まず前提として、「力みの蓄積」を知りましょう。
何かの曲やフレーズを弾いていて、最初は問題なく弾けているのにあるポイントから急に指が固まってき、そこから先が全然弾けなくなることってありませんか?
で、また最初からやるとスムーズに弾けるけど、やはり途中から固まってくる。
原因は「力みの蓄積」です。
力みというものは、解除しなければどんどん蓄積していきます。
例えば、Aメロで10%力んだとします。
Aメロが終わったらリセットされるかというとそうではありません。
何もしなければBメロに入っても10%の力みは残ったままです。
Bメロでさらに20%力んだら、合計30%の力みが残ったまま弾いていくことになります。
そうして曲の最後の方ではもうガチガチになっているという人は多いのではないでしょうか?
この「力みの蓄積」を起こさないためには、二つの対処法があります。
1、最初から脱力した演奏を心がける
2、演奏しながら力みを解除する
最初から最後まで脱力して演奏するのはプロでも難しい(というかできない)ので、2が現実的でしょう。
今回はそういった「力みの解除」の方法をお教えします。
もちろんこれだけで全ての運指の力みが取れるわけではありませんが、あらゆる場面に使えるのでかなり有効だと思います。
次のようなフレーズがあります。
一般的に、3弦5Fを人指し指、3弦7Fを薬指、4弦7Fを薬指で押さえます。
このとき、3弦5Fを行ったり来たりするので、ここをずっと人指し指で押さえたままにしている人がかなりいます。
- 3弦5Fを人指し指で押さえたまま、3弦7Fを薬指で押さえている
- 3弦5Fを人指し指で押さえたまま、4弦7Fを薬指で押さえている
たったこれだけで力みは確実に蓄積されます。
実際このフレーズが弾けないという人も多いでしょう。
また、これぐらいは弾けたとしても、そこで力みが蓄積しているのでその先がなぜか疲れるという人もいると思います。
そこで、人指し指で弦を押さえっぱなしにするのをやめて、力みを解除しながら弾くようにします。
力みの蓄積を起こさないために、3弦7Fを押さえるときに人指し指を解除します。
- 3弦5Fを押さえた人指し指を解除し、3弦7Fを薬指で押さえている
- 3弦5Fを押さえた人指し指を解除し、4弦7Fを薬指で押さえている
ちょっと見づらいかもしれませんが、人指し指はそれぞれ弦から離れています。
ただ、このとき気を付けることがあります。
弦を押さえた指を解除することと、指を弦から離すことは全然違います。
次の写真は指を弦から離しています。
- 3弦7Fを弾く際、人指し指を3弦5Fから離している
- 3弦7Fを弾く際、人指し指を3弦5Fから離している
指が弦から遠くなっているのが分かると思います。
このとき、力は弦と反対方向に向かっています。
- 弦に向かう力が
- 指を離すことで反対方向に
これはギターの世界でよく言われる「指がバタバタしている」状態です。
力の流れで見ると一度真逆の方向に向かっていることが分かります。
こうすると指が動く距離も長くなるので疲れるのは当たり前です。
そうではなく、押弦した力を解除するとどうなるか。
- 弦に向かう力を
- 解除することで指が浮く
押弦の力を解除すると、人指し指にはもはや力の方向や流れがありません。
ただその場で力を抜いたから弦から指が離れただけです。
これだと余計な力を一切使わないし、さっき弦を押さえていた力も一旦抜けるので力みが蓄積されることはありません。
また、指も不必要に弦から離れないので次の動きもしやすくなります。
「でもどうせ人指し指は3弦5Fをまた押さえるんだから、一度離れるよりも押さえっぱなしにしておいたほうが合理的なのでは?」と思う人も多いでしょう。
ここで合理性とは何かという問題が生じます。
確かに距離だけを考えると人指し指を押さえっぱなしにしておいたほうが合理的かもしれません。
しかし、「力みの蓄積」を考えるとそちらの方が非合理的です。
人指し指の動く距離を0にすることで力みが蓄積し、このフレーズやその後が弾けなくなったら意味がありません。
物理的な合理性だけを見てしまうと生理的・身体的な合理性を見失ってしまいます。
これまでで3種類の力の流れがあることが分かります。
①人指し指を押さえっぱなしにした状態
②人指し指を弦から離す
③人指し指の力を解除
図で見ると、③が最も脱力できる運指だということ分かると思います。
初心者の方は「力の解除」と「指を離す」の違いがなかなか分からないと思います。
そこで、力を解除したときの特徴を述べておきます。
・指がふわっと浮く
・弦から指があまり離れない
・指と指の間が閉じていく
・なんか楽
だいたいこんな感じです。
指を離したときは、
・指が勢いよく弦から離れる
・弦から指が遠くなる
・指と指の間が開いている
・なんか疲れる
今回は特定のフレーズにおいて、人指し指のみで例を示しました。
もちろん他のあらゆるフレーズにおいて、あらゆる指使いで力みが蓄積するケースがあります。
一度自分が弾いているフレーズや曲の運指で押さえっぱなしになっていないか、なんか力む箇所はないかを観察してみましょう。
そして、不必要に指が固まっているのを発見したらそれを解除しながら弾けるようにしましょう。
それだけで運指は間違いなく楽になり、技術的にも向上します。
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