ジャズにおいて意志の伝達が重要であることは以前書きました。
これをもう少し具体的に解説します。
例えば自分のソロを終えるとき、『はい、ソロ終わったよ、誰か次弾いてね』という意志を伝達しなければなりません。
このとき、ざっくり言うと上中下三段階の伝達があります。
ソロが終わってから共演者同士目配せをして『終わったの? じゃ次誰??』とまごつくパターン。
終わってからはじめてわかるようなソロだと、次の展開が出遅れてしまったり、誰が何をするかで渋滞が起こりやすい。
上級者の人は心の中で『もうちょっとはっきりしてくれよ……』とため息をついている。
意思の伝達がやや遅い。
ソロの最後のフレーズ、最後の音と一緒に終わることを伝達するタイプ。
アンサンブルの渋滞は起こらないが、対応がどうしても後手に回るのですっきりはしない。
伴奏者は『もう一拍早く教えてくれたら……』と心の中で残念に思っている。
意志の伝達が早い。
ソロが終わりに向かっている空気感を出せる。
伴奏者はその空気感を察知し、ダイナミクスや場面を切り替える準備が出来るので、示し合わせたかのようにソロの終わりを演出し、次のコーラスの頭でバチっと場面転換ができる。
これができるとドラマーが晴れやかな顔をする。
このように、意志の伝達はその瞬間ではなく早め早めに行わないと事故が起こりやすくなります。
では具体的にどうするのか?
それは昔も今もセッションで自分で掴まないといけないことになっています。
僕も最終的にはセッションに行かないと本当のことはわからないと思いますが、教室のレッスンでも教えることはできるので、できるだけかみ砕いて説明するようにしています。
特に、早い段階での意志の伝達はきちんと理解して訓練していかないと身につかないので、やはり個人レッスンで取り扱うことが重要だと僕は思います。
即興だからソロなんてやりたいだけやって終わったら終わるでいいじゃん! と思っている人は要注意です。
自分のせいでアンサンブルが大渋滞しているのに気づいておらず、そのせいで自分の評価を下げているかもしれませんよ。
また、早い段階での意志の伝達ができるだけで、『この人ちゃんとわかってそうだし、使ってみようかな』と声をかけられることもあります。