何かを習得し、上を目指していくときの方法論として、ざっくり分けると自己否定と自己肯定があります。
それぞれの長所と短所を書き出すと、
<自己否定>
長所:自分の弱みを客観視できる、自分で自分に満足しない、批判を受け入れる強さが身につく
短所:暗い気持ちになりがち、他人にもきつくなってくる、極端になると自分の存在そのものを否定してしまう
<自己肯定>
長所:明るい気持ちになれる、他人に寛容になれる、自信が湧いてくる
短所:自己満足に陥りやすい、否定や批判に弱くなる、怠慢を招きやすい
それぞれ一長一短ですが、僕はどちらかというと自己肯定の方が有益であると今は思います。
といっても自己否定が不要というわけではなく、自己肯定の中に自己否定を持てばいいのです。
自己否定は確かに自分を鍛えるにはいい考え方ですが、心にダメージを食らいます。
仮に自己否定で能力がアップしたとしても、その本体である自分の心が傷つき、やさぐれていっては意味がありません。
能力だけ高くて人格がひん曲がっている人間に人は集まってきません。
まずは自分を信じ、肯定してあげて健全な人格をつくっていくべきでしょう。
そこから徐々に自己否定の精神を育んでいけばいいのです。
以前こちらで書きましたが、そもそも自己否定というのはメタ視点で見れば完全なる自己肯定です。
構図としては、
自分←自分を否定している自分(メタ1)←自分を否定している自分を肯定している自分(メタ2)
となります。
メタ1視点で見れば完全なる自己否定ですが、メタ2まで視野を広げれば結局メタ1の自分を完全に甘やかしているだけです。
だったらトータルで自己肯定しつつその中で自己否定も行うという考え方の方が健全だし、論理的です。
また、僕はいろんな人に今まで習ってきましたが、自己否定論者ほど実は自分が大好きというのをさんざん見てきました。
どんなに厳しい人でも人は原理的に自己否定は無理なんです。
その無理なことをするから人格にヒビが入り、逆説的に自己愛を増幅させたり、他人を攻撃したりするのでしょう。
自己肯定の最大の問題は、自己満足と怠慢です。
ただこれも考え方次第でどうにでもなります。
例えば自分が何かを成し遂げたとき、まず自分を肯定しつつ、さらに「俺はこんなもんじゃないだろ? 俺ならもっといける!」と考えましょう。
今の自分を肯定しつつ、さらにそれ以上の自分がいる可能性を肯定してやれば自ずと次が見えてきますし、活力も生まれてくるでしょう。
そうして明るい気持ちで前に進んでいる人は魅力的に見えますし、そうなればだんだん人も集まってくるはずです。
そうした流れは、自己肯定の中からでしか生まれてきません。