このシリーズの過去記事。
さて、ジャズが弾けるようになってきた人、自分だけのプレイを模索している人は、だいたいテーマを解体して弾こうとします。
オリジナルのメロディを大幅に崩すようなフィルやフェイクを入れたり、また、大胆なリハモに従ってメロディラインそのものも変更したり。
その是非はともかく、そういった解体を進めていくとしたら、もはやオリジナルのメロディが持つ雰囲気なんて何の意味もなくなる、だからオリジナルなんて知らなくてもいい! と考える人は結構いると思います。
逆です。
オリジナルを解体する人ほどオリジナルを知らなくてはならないはずです。
例えば、ある建築物を解体するとしましょう。
どうせぶっ壊すんだからその建物の構造なんて知らなくてもいいと、適当に解体を進めていけばどうなるでしょうか?
僕は建設の素人で何も知りませんし建設現場で働いたこともありませんが、そんなことをすればめちゃくちゃな解体作業になると容易に想像できます。
その建物の構造をしっかりと把握することで、合理的かつ安全で、しかも創造的な(その必要があればですが)解体作業になるはずです。
ジャズのテーマも同じです。
テーマを解体しようとする人ほど、オリジナルのテーマをしっかりと自分のものにしていないとめちゃくちゃになるはずです。
ただしこの場合の「めちゃくちゃ」は結局好みの問題になるので、それがいいという人にはいいのでしょうが…。
比較的初心者にありがちなのが、テーマ演奏時にちょっと大胆なフィルを入れてしまったが故にそこからもうテーマに戻れなくなり、なし崩し的にアドリブを初めてしまうパターンです。
これも、オリジナルをしっかりと自分のものにしていないが故の解体の失敗だといえるでしょう。
まあ、それさえも「ジャズだから」で済ませられるのがジャズという音楽の懐の広さでもあり、ダメなところでもあるのですが。