ジャズといえば管楽器やヴォーカル、ギターなどを思い浮かべるかもしれませんが、ジャズを一番ジャズたらしめているのはドラムです。
そのドラムが何をやっているのかを聴けるようになるとジャズへの理解は一段と深まります。
ドラムは正式にはドラムセットといいます。
つまりいろんな楽器が合わさってできているということです。
ざっと挙げると、ハイハット・ライド・クラッシュなどのシンバル系、スネア、タム、バスドラム、さらにカウベルなど。
中でもハイハットとライド(いずれもシンバル)はジャズにとって重要な楽器です。
ハイハットはクローズとオープンで音が違います。
閉じていると「チッチッ」と刻むような音、開くと「シャー」と切り裂くような音になります。
また、半分開いておいて叩いた瞬間閉じる奏法もあります。
一方ライドは「キンキン」と高音の金属音がします。
ジャズの場合、セオリーとして曲の頭ではハイハット、ソロに入るとライドを使います。
とはいえ、最初からライドのときもあるし、ハイハットで始まってソロでもまだハイハット、そして盛り上がってきたところではじめてライドに移行するケースもあります。
それらは曲の流れに従ってアドリブで変化しているので、1曲1曲全然違います。
「あ、この曲はいきなりライドか」「この曲はハイハットのクローズではじめているな」などなど、ドラムの変化が聞き取れるようになっただけでもジャズの演奏の奥行きが分かるようになるはずです。
ソロが盛り上がってくると、当然そこで何が起こっているのか知りたくてソロに注意して聴こうとしますが、実はそこでドラムが重要な役割を果たしていることが多々あります。
極端にいえばソロが盛り上がって聞こえるのはドラムのおかげだったりします。
ですからそこであえてドラムをよく聴くことでアンサンブルの仕組みが見えてきます。
楽器でソロを取る人はドラムがどう来れば盛り上がるかを研究してみましょう。
フィルインというのは、さっきまでシンバルでパターンを叩いていたのに一瞬だけバカスカ自由に叩いてまたパターンに戻ることです。
古い言い方では「おかず」とも言います。
さて、これは何をしているのかというと、各セクションの切れ目を指示しているのです。
例えばAABA形式の楽曲だと、最初のAと2回目のAの切れ目にフィル、2回目のAとBの切れ目はちょっと大きめのフィル、そっから最後のAに戻るときにフィル、そして1コーラスの終わりに一番大きいフィル。
これさえ聞いていれば今どこを演奏しているのか迷うことはありません。
また、フィルをちゃんと聴いているとドラマーは喜んでくれます。
楽器をやる人、これからジャズをやってみたいという人は絶対にドラムのフィルを聞き逃さないようにしましょう。
一般のリスナーでもフィルが聴けるようになると楽曲のセクションが自然と頭に入ってくるようになると思います。