昔からすごく不思議に思っていたことがあります。
それは、まだ未熟なのに自分で練習法を考案したがる人、そしてそれを教えたがる人がいることです。
練習するのはいいことですが、まだ未熟な状態で練習法を考案することは非合理的です。
そもそもギターならギターで練習法はいくらでも存在します。
みんながやっているもの、好きなアーティストが提唱しているもの、講師が考案したもの、雑誌に載っているものなどなど。
そして、既に存在する練習法は既にいろんな人が試しており、その効果についても知ることができます。
ですので習得段階の人は、既に存在する練習法の中から評判のいいものを選んでやってみればいいはずです。
それなのに、なぜか習得段階の自分が、世の中に存在しない――だから効果も分からない――練習法を考案し、それを行うという博打のようなことをやりたがる人がいるのがよく分かりません。
ちなみに過去に一人か二人、教室に習いに来ているのになぜか自分で練習法を考案し、それを僕に披露するという人がいました。
どう対処したかは覚えていませんが、今でも時々思い出してとても不思議に思っています。
ちなみに僕が一番最初に自分の練習法を考案したのはギターを教えはじめてからです。
たぶんギター歴は10年目ぐらいだったと思います。
目的は生徒さんに教えるためでしょう。
それまでは誰かに習ったことや、聞いたことしかやってきませんでした。
僕は合理主義者なので、未熟な自分が考えた練習より既に一人前の人がやってき、推奨する練習の方がたぶん効果があるんだろうと思ってそうしていました。
もちろん相手や内容はちゃんと吟味はしましたが。
あと、一度はじめた練習はかなり長期間続けました。
でないと本当の効果が分からないので。
例えば「ギタリストのためのハーモニー」でも書いているベースを歌う・弾くという練習は音大で初めて習いましたが、その後最低でも10年はやりました。
その結果セッションやライブ、耳コピ、イヤトレ、楽曲の理解などに役に立つことが完全に分かったので今では教室の最重要練習のひとつになっています。
もちろんそれ以外の練習も、どれも最低10年ぐらいは続けたものを教えています。
真面目な講師ならみんなそれぐらい試してから教えていると思います(思いたい…)。
そうして錬磨された練習法と、これからギターを頑張っていこうとする自分が今考えたばかりの練習法を比較し、自分の方を選ぶ精神はある意味あっぱれとも言えますが、非合理的と言わざるを得ません。
ちなみに、手前味噌ではありますが、効果的な練習法を見つけたければアーティストよりは講師が教えているものを採用しましょう。
なぜかというと、アーティストは基本自分にとって効果があった練習法しか知りませんが、講師は不特定多数の生徒に効果が見られた練習法を知っているからです。
動画で一方的に発信するだけの講師ではなく、実際に生徒さんに教えている講師はその練習法に対して持っている情報量が違います。
なので、どんなジャンルでも講師、レッスンプロ、インストラクター、トレーナーの推奨する練習法を探ってみると効果的な練習が見つけられると思います。