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歌手になりたい人は早めにカラオケやめとけ


八幡謙介ギター教室in横浜

このブログでも何度か書いていますが、僕は歌には3段階の階層があると思っています。

 

歌ってみた

カラオケ

 

という構造です。

これは単に歌う場所とか発表する媒体、プロかアマチュアかという違いだけではなく、歌を歌うときの覚悟や歌手の精神も含みます。

また、それぞれの階層によって歌そのものの質も違ってきます。

今回は歌ってみたは一度除外して、カラオケと歌の違いについて述べたいと思います。

カラオケと歌の違いは?

ではカラオケと歌の違いは何でしょう?

最大の違いは、お金を払って歌うか、お金を貰って(そのつもりで)歌うかです。

ちょっとしたことのように思えるかもしれませんが、実はこれは決定的な違いとなって表れます。

カラオケは歌い手がお金を払うお客様であり、お金を払ってマナーを守ってさえいれば何をやっても構いません。

どんなに下手でもいいし、練習してなくてもいいし、歌詞を忘れても、途中でやめても、照れならが歌っても構いません。

また、カラオケは自分が気持ちよくなるための娯楽であり、他人を楽しませるという意識は一切必要ありません。

 

一方、歌はお客様からお金をいただいて歌うことを前提とします。

当然、最低限お金を請求できるだけの技量が必要となります。

また、そこに歌うことへの責任が生まれます。

リスナーを楽しませたり感動させる必要があるし、歌詞を覚えていないとか途中でやめるなんてもってのほかです。

そのためには苦しいこともたくさん乗り越えていかなくてはなりません。

 

歌とカラオケはここまで正反対の性質を持っています。

 

 

カラオケは歌の訓練にならない

なので、個人的にはカラオケは歌の訓練にはならないと考えます。

自分がお金を払っているお客様という、歌手とは真逆の立場になって、リスナーは全員仲の良い友達、店員は自分達をおもてなししてくれて、場は自分達が楽しめるように工夫されている……。

どこまでいってもこれは「カラオケ」であり「歌」にはほど遠い状態です。

もちろん一人カラオケであっても同じです。

あと、カラオケはマイクにリバーブが効きすぎているのでなんかそれっぽく聞こえてしまうんですよね。

 

カラオケという自分がお客様としてもてなされる場で歌う歌は、どこまでいっても「カラオケ」であり、「歌」(自分がもてなす、お金をいただく)にはならないというのが僕の持論です。

だから歌手になりたい人はカラオケはせいぜい付き合い程度にするか完全にやめた方がいいと考えます。

それだけで歌に対する意識は変わるのではないかと思います。

もちろん、身近なところで安く歌を練習できる場所としてカラオケは利便性が高いという理由もあるとは思いますが。

 

 

歌の練習をスタジオでやってみよう

歌手を目指しているのなら、歌の練習を一度でいいからスタジオでやってみましょう。

もちろんスタジオも商売でやっているので利用者はお客様ですが、カラオケのように至れり尽くせりのサービスはありません。

友達とただワイワイやる場所でもないですし。

スタジオの機材は実際に現場で使われるものが置いてあるので、カラオケと違い、本格的な音楽のための音が出ます。

カラオケのように、マイクのスイッチを入れたらすぐに気持ちいいエフェクトで歌えるということはありません(自分でセッティングしたらある程度は近くなりますが)。

僕はカラオケは行かないのでカラオケの標準マイクがどんな機種なのかは知りませんが、恐らくスタジオのマイクの方がエフェクトを入れてもシビアで無味乾燥な音のはずです。

そうした機材も環境も「お客様」ではない状態で歌ってみると自分の歌の本質的な部分が浮き彫りになってくると思います。

 

あと、カラオケボックスは遊びに来ている客しかいませんが、スタジオはもう少し真剣に音楽と向き合っている人が利用します。

すくなくともウェイな集団や、酔っ払いはいません(まあ、変なバンドマンとかはいるでしょうが)。

人の出入りの多いスタジオなら通っているうちに音楽仲間もできるかもしれません。

歌を外に向けて発信しよう

歌手を目指すなら、徹頭徹尾歌を外に向けて発信することをおすすめします。

ストリート、オープンマイク、配信、動画などなど。

いずれも仲間や家族、身内ではなく、知らない人に向けて歌うものです。

別にリスナーがいなくても構いませんし、つたなくても勇気をもって発信することには意義があります。

なぜなら、その時点で「カラオケ」ではなく「歌」なのですから。

 

「じゃあカラオケボックスで歌った歌を動画で配信するのは?」

……個人的にはそれもおすすめしません。

配信という外向きの行動はしていますが、そもそもがカラオケボックスという場自体、自分がお客様になる場所なので。

そもそもそこまでしてカラオケにしがみつく理由も分かりません。

スタジオで歌えばいいだけです。

 

 

カラオケめっちゃ上手い人もいるよね?

確かに、プロの歌手じゃない人でカラオケがめっちゃ上手い人もいるにはいます。

僕もたまにそういう動画や番組を観て自分の認識を再チェックしたりします。

そして、何度聴いてもやはりカラオケはカラオケにしか聞こえません。

歌とは本質的に違います。

ただ、じゃあ何が違うのかというとこれは言語化できません。

強いて言えば”覚悟”ですかね。

歌で生きていく、人生を歌に賭ける、歌で人を楽しませる、自分の歌はお金を貰う価値がある……。

カラオケからはどうしてもその覚悟や姿勢が感じられません。

だからいくら上手くても心には届かないのです。

表面的にはプロより上手くても、その上手さの奥に何もない、それがカラオケです。

そもそも、そんな上手い人がなんでカラオケに留まっているのかが疑問です。

さっさとバンドやるなり歌手活動すればいいのに……

「お客様」として歌う心地よさから抜けられないのか、それとも何か別の理由があるのか……

カラオケは歌手志望を堕落させる装置

改めて考えると、カラオケってどこまでも歌手を堕落させる装置であることが分かります。

もちろん、趣味や遊びなら何の問題もありませんよ。

しかし歌手を目指すのならカラオケとはできるだけ距離を取った方がいいでしょう。

およそ全国どこにでも存在し、安価で利用でき、至れり尽くせりのサービスを受けながら自分の音楽を発表し楽しめるというシステムは、楽器奏者にはありません。

このサービスが受けられるのは歌手のみです。

それ故に、カラオケは歌手志望者を堕落させるような気がしてなりません。

仮に同じようなサービスがギターに対してあったと想像したら、間違いなくギタリストは堕落するでしょう。