先日たまたまXの「Jealousy」が300円で売ってたのでなつかしさで衝動買いしました。
聴いてみるとあまりにも音がよくてびっくりしたのでレビューしておきます。
オリジナル盤発売は1991年。
僕は中1ぐらいでリアルタイムでめちゃくちゃ聴いてました。
2007年にリマスター版が発売。
現在サブスクなどで聴けるのはこちらのみのようです。
その後2016年にも再度リマスター版が発売されたようです。
リマスター版もいいんですが、音を真剣に勉強している方はぜひオリジナル盤を聴いてみることをおすすめします。
プレミアとかついてないんで数百円で買えます。
「Jealousy」の時のメンバーは、
Dr YOSHIKI
Vo TOSHI
G HIDE(故人)
G PATA
Ba TAIJI(故人)
という黄金期ですね。
TOSHIも洗脳される前です。
まあこの辺はみんな知ってると思いますが。
さて、実はこのオリジナル盤を購入した動機は懐かしさもありますが、90年代を代表するJ-Rock(当時そういう名称すらなかった)がどれだけ音がしょぼいかを確認しようと思ってのことでした。
といっても別に意地悪ではなく、この時代の音源、特に日本のものはどうしたって音がしょぼく聞こえてしまうものです。
当時はそれが良かったけど今聴くと……というのがほとんどで、だからこそリマスターされて再発されたりするんですよね。
そうして過去の音源のしょぼさを確認することでそれ以降のサウンドの変化を学ぶことができるのです。
ということで何の期待もせずに再生してみると……
あれ?音めっちゃええやん???
と驚きました。
一瞬間違えてリマスター版を買ったのかと思って確認したくらいです。
でもリマスター版と聴き比べるとやっぱりサウンドが違うのでオリジナル盤で間違いありません。
まず驚いたのが音のクリアさ。
普通90年代のロック、特にメタル寄りのものは音がもっとくすんでこもっていたり、良くも悪くも粗かったり、やたら空間を強調した音だったりするんですが、「Jealousy」はとてもクリアでびっくりしました。
そこですぐに思い出したのが、「あ、そうか、ロスでレコーディングしたんだ!」
この音は間違いなくアメリカンな音です。
それも、アメリカのロックサウンドというよりは、どこかほんのりスティーリー・ダンを思わせるような、フュージョン的なクリアさや分離の良さが感じられます。
そこでエンジニアを調べてみると、リッチ・ブリーンという方でした。
どうやらフュージョン系に強いエンジニアのようです。
リッチは故TAIJIが探してきてオファーしたそうです。
TAIJIはMANOWORの「KINGS OF METAL」というアルバムを聴いて彼にオファーしたんだとか(出典 Jealousy (Xのアルバム) - Wikipedia)。
確かに聴いてみると「Jealousy」のサウンドに近いですね。
こちらは1988年発売のアルバムなので時期も近いし、使ってる機材も近いんでしょう。
それにしても90年代初期の日本のロックバンドが<クリアなサウンド>を求めていたとは驚きです。
というのも、90年以降音楽シーンはいわゆる<音圧戦争>に突入するからです。
ダイナミクスも質感もルーム感も全部殺していいからとにかく音圧を上げろという時代がすぐに到来します。
しかし、2020年代に入ると『もういいかげん音圧とかいいから…』とリスナーもエンジニアもミュージシャンもうんざりしてきます。
と、このタイミングで改めて「Jealousy」を聴くと『これこれ、こういう音が聴きたかったんだよ!』と、まるで音圧戦争に終止符を打つために2023年に発表されたアルバムであるかのような印象を受けました。
2023年に改めて「Jealousy」のオリジナル盤を聴いて、まるで二世代先の音楽シーンを予見して制作したかのような印象を受けました。
リッチ・ブリーンを見つけてきたTAIJIの音楽的嗅覚には脱帽です。
では現在サブスクなどで流通しているリマスター盤(2007年)とはどこが違うのか。
一言でいうと音圧です。
2007年というと音圧戦争ど真ん中でのリリースということで、さすがに音圧は結構上げています。
オリジナルのクリアさは保ってはいるものの、やはりコンプによって詰まった感じはあり、オリジナルより迫力はあるものの窮屈さや息苦しさは感じてしまいます。
スマホならリマスター盤の方がいい音に聞こえるかもしれません。
個人的にはやはりオリジナル盤をちゃんと聴いてほしいなと思います。
同じオーディオでYoutube経由で聴くと、一枚膜が張った感じでハイのクリアさが出ていません。
たぶん音源はリマスター盤のものだと思いますが、音は悪くなってますね。
せめてサブスクで聴きましょう。