現代は情報が溢れており、その中で何を信じればいいのか我々は常に悩まされています。
ギター初心者にたいする情報を検索すれば何万というサイトがヒットし、リアルでも友達、親、先輩、楽器店員などなどそれぞれがそれぞれの意見を言い、情報を集めれば集めるほど頭がパンクしてしまいそうになります。
その中でどれが正しくてどれが間違っているのかを初心者が精査することは不可能です。
そこで今回は、情報の出所を整理し、それを元に信用に値するものとそうでないものを分けてみたいと思います。
まずはじめに、匿名や匿名性の高い情報はすべて切りましょう。
掲示板、ハンドルネームのみのSNS、質問サイト、あとライターが分からない記事も無視しましょう。
人が匿名になったときどれだけ無責任になるか、どれだけ悪意をむき出しにできるかを我々は知っています。
また、ネットの集合知が簡単に方向性を見失い、暴走するということも知っています。
もちろん、中には奇跡的に有意義な情報もありますが、それに当たる確率は相当低いでしょう。
ですので、匿名の情報を切るだけで、自分の持っている情報の質が確実にアップします。
ではSNSで顔や名前を出しているギタリストにDMやライブ配信で質問するのはどうでしょう?
掲示板や質問サイトに比べればややましでしょう。
ただ、仮に反応があったとしても、相手からすればあなたは大勢の中の一人です。
人気者であれば毎日数十件から百件以上くるDMのなかのひとつ、ライブ配信に送られる何百何千のコメントのなかのひとつです。
あなたのことをちゃんと認識し、親身になって答えている時間はそうそうありません。
そこから得られる情報は、個人的な意見かごくごく一般的な当たり障りのないものでしょう。
それは自分が知らない人に同じ質問されたらどう答えるかを考えると分かります。
責任問題に発展しないよう、当たり障りのないことを言って流しますよね。
関係性の薄い人から得られる情報は、結局一般論とそう変わりません。
だったら最初から当てにしない方がかえって情報が整理できると思います。
では顔が見えて関係性もある人の意見ならなんでも聞いた方がいいのかというと、もちろんそうではありません。
まず単純に、ギターが弾けない人の意見を聞いても仕方ありません。
不思議なことに、ギターが弾けない人の方がなぜか初心者にアドバイスしたがるものです。
そういえば昔、僕がギターをはじめた頃にあれこれアドバイスしてきた人いましたが、後々その人が全然ギターが弾けないことが分かって幻滅しました。
ギターが弾けない人のアドバイスが有効かどうかというと、そうでない確率の方が高いのは間違いないでしょう。
そうした人のアドバイスは無視するか、関係性があるのなら適当に聞いたふりをして流しておきましょう。
関係性があり、既にギターをある程度弾いている人ならどうでしょうか?
もちろんギターが弾けない人よりは有益な情報を与えてくれる可能性があります。
ただし、歴5年未満ならやや注意が必要です。
楽器の演奏歴で5年未満の方はざっくり言うと初心者です。
本当に苦しい峠をまだ越えていない人の方が多いでしょう。
もちろん中には上手な人もいるとは思いますが、楽器や音楽の本質を理解できる歴ではありません。
5年未満ならまだいろんな勘違いもしています。
また、それぐらいの歴だと誰かの上に立ちたい、マウントを取りたいという欲求をくすぶらせている人も多いと思います。
やたらと強引に特定のギターを勧めてくる、こちらの意見をばっさり切る、否定的な意見ばかり言う、自分よりいいギターを買わせたくない……などなど、気が付けばコントロールされているなんてこともあり得ます。
まあそれは極端だとしても、歴5年未満の人は自分とそんなに変わらんと思っていていいでしょう。
ギター講師目線で言うと、5年以上やってる人は本気度が一段階違います。
3年4年ぐらいはわりと誰でもできますが、5年となるとそうそう続きません。
歴5年以上で関係性のあるギタリスト(もちろんアマチュアでOK)が言うことなら、とりあえず情報としてインプットしておく価値はあります。
また、何事に置いてもそうですが、長く続けていればいるほど初心者の気持ちを忘れてしまいます。
歴5年~10年ぐらいであれば、まだ初心者の頃を覚えていて、しかも自分と世代が近い人が多いと思います。
それぐらいやっていれば初心者にマウントを取る人ももう少ないと思います。
歴10年が過ぎると、プロかアマチュアかは置いておき、ミュージシャンとして一人前になっている人もいます。
ただ、そうなると初心者とレベルが違いすぎたり、もう初心者だった頃のことを忘れていたり、その人が初心者だった頃と今でギター界の常識が全然違っていたりして、逆に見当違いなアドバイスをされる可能性もあります。
2022年から10年前だと、まだギターは楽器屋で買うのが当たり前、ネットでポチるなんてあり得ない、Youtubeで活動なんて素人がやること……という時代でした。
その時代の常識で語られても今の人はピンと来ないでしょう。
ですから、歴の長いギタリストのアドバイスは意外と参考にならないケースがあるということも知っておきましょう。
楽器店員は楽器のエキスパートであり、日々楽器に囲まれ、様々な情報も自然と入ってき、初心者の人とも毎日のように接しているので信用できるような気がします。
まあ情報に関しては別として、日々楽器に囲まれて仕事しているという点ではミュージシャン、インストラクターよりも楽器に詳しいと考えて差し支えないでしょう。
ただ一点だけ忘れてはいけないのは、楽器店員は楽器を売るために働いているセールスマンだということです。
ですからその言葉には間違いなくセールストークが含まれています。
それもベテランになればセールストークじゃないように思わせたセールストークまで使いこなせたりします。
中には悪い店員も存在し、押し売りのように圧をかけてきたり、誰も買わないような粗悪品を売りつけることもあります(実際の例を知っています)。
楽器屋の店員の意見は有益な情報としてインプットしておき、そこで買うかどうかはまた別として判断しましょう。
まあ個人的には店員が親切だからネットよりちょっと高くてもその店で買うというのは全然ありだと思いますが。
手前味噌な話になりますが、一応聞いてください。
歴が長いギタリストの意見は参考にならないこともあると言いましたが、講師歴の長いギターインストラクターは逆に信用できると思います。
なぜかというと、講師は常に初心者の人と接しているので、時代感覚を頻繁にアップデートすることが可能だからです。
僕も若い生徒さんにはこちらからあれこれ質問して、今の感覚がどうなっているのかを常に学んでいます。
また、講師歴が長ければ長いほど初心者の気持ちが改めて分かるようになってくるようになります。
逆に、講師歴数年だとまだまだ我が取れていない人が多い気がします。
長年講師ができるということは、初心者の方とちゃんとコミュニケーションが取れ、適切にアドバイスできるということです。
ひとつだけ気を付けてほしいのが、楽器店に併設されている教室のインストラクターです。
以下は実際に相談されたことです。
ある方の子供が某楽器店に併設されている教室に通っていて、あるときギターが壊れてしまったそうです。
すると先生がその楽器店で売っているそこそこ高いギターを勧めてきたそうです。
不審に思った親御さんから僕に「これって普通なんですか?この値段のギターが初心者に必要でしょうか?」と相談がありました。
もちろん僕は、それはおかしいし、初心者にその値段のギターは必要ではないですよとお伝えしました。
おそらくその楽器店では、教室の生徒さんにお店の楽器を買わせるといくらかマージンが入るというシステムがあるのでしょう。
もちろん、そのシステムを利用しつつ良心的なギターを勧めてくるインストラクターもいるとは思いますが、中には高いギターを買わせようとする人もいます。
最後に、ある程度登録者のいるYoutuberの言うことは僕は信用していいと思います。
なぜなら、いい加減なことを発信すれば炎上したり、責任問題に発展する可能性があるからです。
ステマをしたり粗悪品をベタ褒めしたりしてもリスクしかありません。
それがバレて炎上し、登録者や再生数が減ったりしたら困るし、収益化が停止されたら最悪です。
そんなことをするぐらいなら本当にいいものをちゃんと視聴者に伝えた方がメリットが大きいので、Youtuberの言うことはそれなりに信用に値すると考えられます。
もちろん全員が信用できるわけではありませんが、それなりに登録者数が多く、明らかにYoutube活動に力を入れているギタリストであればいい加減な情報は出さないと思います。
一度まとめてみましょう。
無視すべき情報
匿名の情報(掲示板、質問サイトなど)
ギターが弾けない人のアドバイス
聞き流す程度の情報
歴5年未満のギタリスト
歴10年以上のギタリスト(非インストラクター)
信用はできるがやや気を付けるべき情報
楽器店員
歴10年以上のギタリスト(非インストラクター)
信用性のある情報
歴5年~10年未満のギタリスト
講師歴10年以上のインストラクター
登録者数の多いYoutuberギタリスト
正直、めんどくさい人は最後の「登録者数の多いYoutuberギタリスト」の初心者向け動画だけ観ていればそれでOKです。