八幡謙介ギター教室in横浜講師のブログ

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ギター初心者がこれからギターを始めるために 31 ジャパンヴィンテージについて知っておこう


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ジャパンヴィンテージって?

近年ギターの世界で「ジャパンヴィンテージ」という言葉が流行しています。

要するに、日本製ヴィンテージギターのことです。

ギブソン・フェンダーのヴィンテージと違ってまだまだ手が出る値段であることからもしかしたら狙っている人もいるかもしれないので、ここで僕の考えを書いておきます。

先に結論を言っておくと、2022年現在以降は投機・コレクション目的意外で買わない方がいいです。

 

 

ヴィンテージって何?

まず定義が曖昧な「ヴィンテージ」について軽くご説明しましょう。

 

そもそもはワインの収穫年を意味する言葉です。

2022年産ワインなら「2022年ヴィンテージ」と呼びます。

中でもとりわけ出来がいい年のワインを「ヴィンテージ」と呼んだことから転じて、古くて質のいいものという意味が派生したようです。

つまりヴィンテージとは、

 

古いもの

質がいいもの

 

この二つが条件となります。

「ヴィンテージ」は言ったもん勝ち

ヴィンテージの構成要素として、製品の古さについては確固たる証拠があるので、ちゃんと調べれば誰でも分かります。

ただ、どれぐらい古いとヴィンテージと呼べるのかという決まりはありません。

もうひとつ、質の良さが判断の難しいところです。

究極のところ、弾いた人が「質がいい」と判断すれば、それは質のいいギターになってしまうのです。

つまりどういうことかというと、楽器店がそこそこ古いギターを探してきて「これは質がいい!ヴィンテージだ!」と言えばヴィンテージギターが一本この世に生まれるということです。

そう考えるとなんとも怪しいものだと分かると思います。

先に行っておくと、ジャパンヴィンテージはそうやって日本のギター雑誌と楽器屋が仕掛けたムーブメントです。

 

 

ジャパンヴィンテージの「質」とは?

さて、ではそのジャパンヴィンテージの質とはどの程度のものか?

実は以前生徒さんで日本製B級ギター(当時はまだジャパンヴィンテージという呼び名が定着していなかった)が好きな人がいて、懐かしいギターを買ってきては「先生、これどうですか?」と持って来てくれた人がいました。

記憶が正しければTOK○Iのレスポールタイプを4~5万で買ったと言っていました(今じゃ20万、30万当たり前……)

さて、弾いてみた感想はというと、だいたいどれも5万以下で買えたら「面白いギター」としてネタで持っておいていいかも……という印象でした。

一応言っておくと、その生徒さんにもそういう評価はちゃんと伝えてあります。

まあ実際作りは悪くなく、音もちゃんと出したい方向性がわかり、そして値段も比較的安いので、そういったギターが好きな人にはいい買い物だとは思っていました。

ただ、ギブソン・フェンダーのような絶対的な質、ギターそのものがもつ音楽性というものはいわゆるジャパンヴィンテージから感じたことは一度もありません。

 

そういえば昔渋谷の小さなギターショップで、70年代ぐらいのYAMAHAの335タイプを弾いたことがありますが、あまりの出力の低さ、音のペラさに驚き、これじゃ使えんわ……とがっかりして帰ってきました。

それ以降、個人的には日本の古いギターに期待することは一切やめたという記憶があります。

当時の値段は忘れましたが、10万はしなかったと思います。

今なら数倍になってるんだろうなーと思うと変な気分になります。

 

 

楽器屋の宣伝文句に騙されないようにしよう

いわゆるジャパンヴィンテージを弾いてみて、本当にそれがいいと感じたなら買ってもいいと思います。

ただ、ヴィンテージの定義が曖昧なことにつけ込んだ楽器屋やギターメディアの煽り、仕掛けに乗せられてなんとなく「今ならヴィンテージがたった20万、30万で買える最後のチャンス!」と思っているなら、一度踏みとどまった方が賢明です。

はっきりいってジャパンヴィンテージと称するギターに10万円以上の価値はありません。

だいたい5万から7万が妥当、どれだけコンディションがよくても10万、それ以上は値段に実体がありません。

ジャパンヴィンテージよりジャパンオリジナルを

このシリーズ第25回~を読んでもらうと分かりますが、日本のギターメーカーは70年代~80年代に暗黒のパクリ期が存在します。

ギブソン・フェンダーのギターを堂々とパクってコピー商品を販売し、実際に訴えられた過去があります。

ジャパンヴィンテージとは正にその暗黒期に生まれた恥ずかしいギターだとも言えます(もちろんオリジナルなギターもありますが)。

その時代のギターを「ヴィンテージ」と名付け、まるで黄金時代のように懐古し、値段をつり上げて販売する神経が僕には理解できません。

そんなパクリギターを買うなら90年代以降の「ジャパンオリジナル」の方が絶対いいと僕は思うのですが……。

 

 

投機対象なら今が買い

僕はトレーダーでもなんでもありませんが、ジャパンヴィンテージを投機対象とするなら今が買いのチャンスだとは思います。

ジャパンヴィンテージという名前も定着してきたし、値段もどんどん上がっているとはいえまだまだ15万20万、高くても30万の世界ですし、これからの成長(?)が期待できるので、今資金を投入して買っておけば数年後にはもう倍になっていてもおかしくありません。

ここ10年ぐらいヴィンテージギターの相場を見てきましたが、一度も値崩れしたことがないし、ロレックスなんかと同じで投機対象としてはわりと堅いのではないかと思います。

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