僕は今年で44歳になりますが、90年代に思春期まっただ中だった生粋の90年代っ子です。
最近どうも90年代再評価の機運が高まっているようで、音楽番組でもそういった特集を観る機会が増えました。
ただ、リアルに90年代を過ごしてきた僕からすると、ちょっと違うんだよなーと思うことがあります。
例えばサザンは90年代にも爆発的ヒットを飛ばしましたが、匂いとしてはむしろ80年代です。
だから、サザンを90年代として紹介されるのには違和感があります。
そこで、90年代に思春期を迎え、ギターをはじめてそこからギターを生業とするようになった僕がリアルに90年代の匂いがする楽曲やアルバムを挙げてみたいと思います。
まずはB'z。
この曲は僕が中学生のときめちゃくちゃ流行ってました。
この絶妙にダサいタイトル、中途半端なラテン感とEDM感(それぞれの音楽を消化しきれていない感じ)、クリアだけどか細いサウンド、そして異常にキャッチーなメロディ……。
これぞTHE・90年代です。
当時は大嫌いでしたが、今聞くと涙が出るほど懐かしくて格好いいと思えるので不思議です。
当時はシングルCDはこのサイズだったんですよね…
90年代にバンドやってた人や、ファッション、ストリートカルチャーに興味があった人は絶対に通っているバンド。
40代にハイスタは猫にまたたびです。
今の子は「WANIMAと一緒じゃん」と思うかもしれませんが、匂いが全然違うんですよねえ……
このザラザラした質感が90年代です。
あと、バンドマンなんだけどそんなに悪そうに見えない、でもどっちかっていうとやんちゃサイドのお兄ちゃんたちという印象も90年代っぽいです。
ジュディマリはもう90年代そのものですね。
92年結成、93年メジャーデビュー、2001年解散と正に90年代を駆け抜けた印象。
80年代を引きずっている印象もなく、(音楽的に)来るべき00年代への扉を開くこともなく散っていったバンドで、どれを聞いても90年代の空気が詰まっています。
90年代の女の子は誰でも一度はYUKIちゃんになりたいと思い、男の子はYUKIちゃんみたいな彼女が欲しいと思ったことがあるはず。
90年代に絶大な人気を誇ったバンドですが、昨今の90年代特集にはなぜか全然ひっかからないのが不思議。
当時はB'zより全然人気でした。
多くのロックバンドがまだ80年代を引きずっていた当時、一歩前に進んでいたのがT-BOLANだったような気がします。
この安っぽいカラオケみたいなMVに当時の匂いがプンプンしますねえ。
ヴィジュアル系だとLUNASEAが最も90年代の匂いがします。
当時はXが全盛期でしたが、Xはどちらかというと80年代の文脈が強かったので。
僕が初めて観たロックコンサートもLUNASEAでした。
個人的には「Rosier」あたりが90年代っぽい気がします。
最後に洋楽。
90年代のロックといえばこれ一択。
ここに90年代の全てが詰まっているといっても過言ではありません。
当時彼らのようなジャンルは「グランジ」と呼ばれていましたが、グランジの登場でそれ以前のロックが全て過去に追いやられたそうです。
かのイングヴェイでさえグランジが出てきてからアメリカでレコード契約が全て無くなったと自伝に書いていました(唯一契約更新してくれたのが日本のレコード会社で、そのことには感謝しているとも書いていた)。
また、ガンズのスラッシュはグランジが登場してから道を歩いていると「ちょwwスラッシュやんwww草w」と笑いものにされ、自分が過去の人になったことを感じて怖くなったとか……。
それぐらいものすごいムーブメントだったんですが、なぜか2000年代にはいつの間にか消えてしまいました。
90年代を知りたい人はグランジを掘ってみましょう。