ジャズをある程度弾けるようになってき、もう一段階レベルアップさせたいけど何をしたらいいのか分からないという人は多いと思います。
今回はそういう人がアドリブに対する認識を書き換えるためのリスニング術をご紹介します。
文字通り、音源を聴くだけです。
必要なものは、50年代~60年代のビバップの名盤。
まあ、たぶん持ってますよね。
その名盤の中から、以下の点を探してみてください。
僕のジャズレッスン(アドリブレッスン)では定番となっている「繰り返し」。
言葉の通り、アドリブで短いフレーズを繰り返すことです。
ジャズのアドリブというと、多彩なフレーズを湯水のように放出し、コードチェンジをカラフルに彩っていくというイメージがあると思いますが、実は同じフレーズの繰り返しが必ず行われています。
ただ、アドリブなので全く同じフレーズを全く同じタイミングで使うということはほぼありません。
フレーズを少し、あるいは原型をほとんど留めていないほど崩したり、タイミングをずらして使ったりと工夫するので、注意して聴かないと繰り返しだと認識できません。
だからジャズ初心者~中級者は、意外とこの繰り返しという概念を知らなかったりします。
教室でいうと、僕よりジャズのリスニング歴が長い生徒さんでも全員が全員「そんなこと知らなかった」「今まで考えたこともなかった」と仰います。
ジャズのアドリブでフレーズがどう繰り返されているのかを聞き込むことで、自分のアドリブに還元することができます。
まずはいろんな音源を聴いて、アドリブ中フレーズをどう繰り返しているのかを調べてみましょう。
ちなみにこれは「モチービック・デベロップメント」ではありません。
モチーフ(フレーズ)を、どう発展させるかではなく、どう繰り返すかです。
ジャズのアドリブで重要なのは、コーラスのまたぎ方です。
1コーラス目を完全に解決させて、2コーラス目の頭から「はい、もっかい」というのはジャズではありません。
ジャズのアドリブでは、コーラスの境目を消す、次のコーラスに無理矢理侵入する、といったことが必ず行われています。
もちろん全ての音源の全てのプレイヤーが全てのコーラス終わりで何か特別なことをしているわけではありません。
時には1コーラスをしっかり締め、次のコーラスの頭から新たに始めていることもあるでしょう。
しかし、体感的には6割~7割の確率でそうなってはおらず、コーラス終わりに何かをし、前のコーラズの終わりから次のコーラスに侵入しています。
言い換えれば、コーラスが断続しているのではなく、連続しているということです。
それを探して何をしているのか考えてみましょう。
ちなみにコーラス終わりできちんと締めずにまたいだり侵入したりするというのは、アドリブの最難関ポイントといってもいいでしょう。
なぜ難しいかというと、音楽的にはコーラス終わりでちゃんと解決して締めることが正解だからです。
しかし、ジャズは(あるいは黒人文化は)、正解が不正解となり、不正解が正解となる不思議な性質を持っています。
正しく解決する場面で正しく解決することが、ジャズではときに不正解となるのです。
ここを理解し、アドリブとして体現することは至難の業です。
ということは、これができれば確実にひとつレベルアップできるということです。
上記2点についていくつかの実例を知っておくだけで、アドリブに新しいトピックを加えることができます。
アドリブで伸び悩んでいる人は一度考えてみてください。