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脱力=押弦の弱さ、ピッキングの弱さではない


八幡謙介ギター教室in横浜

ご存じ楽器を弾く際の脱力ですが、どうもこれ自体2種類の概念が存在する気がしてきました。

ひとつは楽器に対する入力の弱さを脱力とする考え方、もうひとつは筋力そのものをできるだけ使わないようにすることを脱力とする考え方です。

僕の定義では、前者は脱力ではありません。

なぜなら、ガチガチに緊張しながらソフトに押弦したりソフトにピッキングすることは不可能ではないからです。

仮に、ソフトに押弦することが目的であれば、緊張しながらでもその目的が果たせればそれでいいと思うかもしれませんが、長い目で見ればNGです。

そもそも脱力は単なる音楽上の問題を解決するツールではありません。

肉体のケアや怪我の回避という目的もあります。

ある時期は緊張しながらソフトに弾けていたとしても、やがて無理がたたり、身体を壊して楽器が弾けなくなったら全ておしまいです。

 

脱力を楽器に対する入力で測るのではなく、身体感覚そのものとして捉えた方が、最終的に楽器に対してもより細かく繊細なアプローチができるようになります。

また、脱力=ソフトだけではありません。

脱力しているからこそ楽器に対してしっかりと入力できるというのも事実です。

この辺はレッスンに来ていただければすぐに体感できます。

 

身体感覚としての脱力は、楽器を持たなくても訓練可能です。

忙しい現代において効率的に練習時間を捻出するためには、身体のみを使った脱力の訓練が最も効果的といえるでしょう。

 

難しいのは、脱力というものは計測不可能であるという点です。

握力がどれだけ強いかは計測可能ですが、握力をどれだけ脱力できているかは計測できません。

そこで何らかの対象が必要となるのですが、既に述べたように楽器に対する入力や楽器の反応だけでは脱力を正確に把握できない場合があります。

ピッキングがソフトだから単純に脱力できているとは言えないのです。

 

脱力は、常に「前より」でしか体感できません。

前より腕が疲れにくくなった、前は前腕が痛くなっていたけど、それが出なくなった、前弾けなかったフレーズが弾けるようになった、などなど。

今自分がどれだけ緊張しているかは、そこから力が抜けてはじめて過去のものとして認識できます。

どんな人でも、今自分がどれだけ緊張しているか、どれだけ脱力できているかを正確に認識することはできません。

 

脱力の目的が楽器の上達だとすると、楽器が上達すれば脱力が必要なくなります。

また、上達の目標レベルがそれほど高くなければ、脱力がそもそもいらない場合もあります。

脱力の目的は、身体認識です。

楽器の上達は、そのおまけみたなものです。

ただ、脱力が進めばそのおまけがプロレベルの価値を持つようになります。

楽器の上達を主とし、脱力をそのメソッドとして導入しても、楽器という小さな枠にとらわれて脱力が花開かず、結果楽器にも還元されないという現象が起こります。

ですから、脱力はあくまで身体操作、身体感覚として養っていくべきなのです。