個人的にJ-POPは好きな方ですが、つまんないという意見も分かります。
特に近年のバンドはサウンド、ルックス、楽曲、歌詞……どれも同じに聞こえます。
近年ではせいぜいUNISON SQUARE GARDENが頭ひとつ抜けてるぐらいかなーという感じ。
あと面白いのは全部アイドルになりますね。
それも最近はあんまり聴かなくなってきましたが。
と、そんなときに知ったのがTempalayというバンドです。
早速「21世紀より愛を込めて」と「なんて素晴らしき世界」を聴いてみると……
なんじゃこりゃ????
今まで聴いたことのない音に脳が混乱し、そのまま中毒のようにループしてあっという間にハマってしまいました。
以下、僕なりにTempalayの何が凄いのか、どこが聞き所かを解説しみたいと思います。
まず気になったのが、ギターの音量と位置。
歌ものなのにギターがどセンターにいて、しかもめちゃくちゃでかいです。
まるでDTM初心者のギタリストがわがままでミックスしたような感じですが、これが以外と世界観にあっていて、独特のサウンドを形成しています。
これだけでも『勇気あるなー』と関心してしまいました。
自分達の音楽にはこのミックスが必要だとはっきり分かっているんでしょう。
Tempalayはメロディがわけわかりません。
『な、なんでそれ使おうと思ったの……』と眉をしかめたくなるメロディばっかなんですが、それが奇妙に美しいんですよね…
例えばこれ。
アルバムの表題曲がコレです……
どうやって作ったかは知らんけど、普通の神経してたらこれで行こうとはまず思いません。
それなりにキャッチーなサビもたまにありますが、次のメロディですぐに???となったりします。
だから聴いていて厭きません。
Tempalayの楽曲にはリフも多いんですが、これまた『なんでそいつを使おうと思った???』というものが多いです。
普通に考えたら絶対ダサくなるはずなんですが、それがなぜか格好よくなってるから不思議で仕方ありません。
自然に出てきたものを使ってるだけなのか、それともわざとダサめのリフを狙って使っているのか、全くわかりません。
ただ、変にダサかっこよさを狙ったり、半分ギャグで「ねえねえ、これダサくねw」とネタでやってる感じは全くないです。
個人的に一番驚いたのが、ギターのヴォイシング。
往年のビル・フリーゼルのようなミヨーンとした奇妙なヴォイシングで、コンテンポラリージャズかよと思ってしまいました。
ギターはヴォーカルの人が弾いているようですが、元ジャズギタリストなんでしょうか?
ジャズギターやってる人もぜひ一度は聞いてほしいです。
普通のギターやってる人も、これぐらいオリジナルなヴォイシングで伴奏できるようにコードの勉強をしてほしいところです。
ギターに関してさらに言うと、サウンドが良くも悪くも”今”の音なんですよね。
恐らくライン録りだと思いますが、ちょっとサウンドにDTM臭いチープさが残っています。
ただそれを一生懸命消そうとはしておらず、「いいもの」として作ってる感じがします。
妥協してのDTMライン録りじゃなく、その音が欲しいからそうしてるような気がします。
まあ、知らんけど…
こういう音って言い訳として使われると不愉快になったりもしますが、最初から「この音がいいんです!」と推されると「お、おう、それが”今”なのか…」と納得させられます。
バンドやアーティストって普通、2~3曲聴いたらルーツがわかるもんですが、Tempalayはそれがさっぱりわかりません。
また、ルーツがわからないように工夫している感じもしません。
リフやフレーズひとつにしても、それがどっから来たのかが分からないので、ものすごく奇妙な感じがします。
かといって、誰も理解できない全く新しいものかというとそうでもないし。
とにかく不思議な音楽です。
とりあえず最後に、Tempalayの良さは狙った感じがしないことです。
ゆらゆら帝国のようないかにもなアングラ感もなく、かといってSUCHMOSのようなオシャン感もなく、King-Gnuのような才気走ったオーラも出さず、川谷絵音のように音楽大好きです感も出さず、あくまで普通にやってそうなところが凄いです。
だからものすごく奇妙なのに抵抗なく入ってきます。
いやはや、とんでもないバンドが出てきたもんです。
今のJ-POPで一番聴く価値のあるバンドですね。