横浜ギター教室でレッスンをしていると、時々教えた内容を噛み砕いてくる人がいます。
特に大人はその傾向が強いと言えるでしょう。
また、若い人でも熱心な人ほど自分で噛み砕こうとする人が多いです。
これは逆効果なのでやめておきましょう。
習ったことを噛み砕く行為は、一見能動的に理解を深める行為のように思えますが、実は無意識のうちに内容を今の自分のレベル合わせて作り替えていることがほとんどです。
例えば生徒さんの現在のレベルが10としましょう。
するとこちらは11とか12ぐらいのことを教えるようにします。
10の人が11のものを噛み砕くとき、当然11を10で理解しようとするので、何かが足りなくなります。
また、僕が教える11は、その先に15や20や30を見越しています。
その11を10で噛み砕くとぎりぎり12とか13ぐらいはできても、15が成立しなくなるということが多々あります。
だから11を噛み砕いてくる人にはそれを説明してもう一回11をやってもらうことになるので、二度手間となります。
一番いいのは11を噛み砕こうとせず、そのまま飲み込むことです。
そうすると11が11のまま入ってきます。
最初は違和感があり苦しいのですが、だんだん自分自身が11になり、やがてそれを体得できるようになります。
そして自分が11になったら好きなだけ噛み砕けばいいのです。
そのときはもう自分が11になっているので、大事なことを切り捨てる心配もありません。
このように、何か新しいことに取りかかる際は、まず違和感や不安感をしっかりと感じることが重要です。
それを取り除いてから取りかかろうとすると、せっかく高いレベルのものが今の自分のレベルに下がってしまうので、結局レベルアップしません。
習ったことを噛み砕く人は、レベルアップの種を自分から切り捨てているのと同じです。
ですから、習ったことはできるだけそのまま飲み込むようにしましょう。
それは痛みを伴う作業ですが、その中に上達の種があるのです。