ジャズのライブで客を呼びたい、ジャズのお店にもっと客が来てほしい、ジャズのイベントを成功させたい、ジャズについて書いた文章をもっと読んでもらいたいなどなど、ジャズで何かをはじめようとする人は今でも少なからずいます。
ではそういった場合、どのような層をターゲットにするべきでしょうか?
普通に考えれば、ジャズファンですよね。
ジャズで何かをするのだから、ジャズファンが反応するコンテンツを提供すればリアクションが起こると考えるのが自然です。
しかし、ジャズという音楽を取り巻く状況を考えたとき、必ずしもそれは最適なマーケティングではありません。
仮に音楽好きを100%として、その中でジャズファンがどれぐらいか想像してみましょう。
たぶん5%ぐらいじゃないでしょうか?
これが「ジャズに興味がある」となるとおそらくジャズファンも含めて30%ぐらいになると思います(カンなので根拠はないですが)。
残りの70%ぐらいは全く興味ないと思います。
まず、ジャズに興味のない70%の人たちに訴求するのは難しいのでスルーします。
残りを分けて考えると、「ジャズファン」の5%と「ジャズに興味がある」25%の人たちです。
単純に数で考えると「ジャズに興味がある」25%の人たちに訴求する方が結果が期待できます。
『でもお金を落としてくれるのはジャズファンじゃないの?』と思うかもしません。
では計算してみましょう。
仮にジャズのお店を開き、ジャズファン1人が常連になった場合と、ジャズファン未満の一見さんが月に5人来る場合で考えてみましょう。
単価はジャズファンが1回4千円、未満の人が1人3千円とします。
ジャズファン1人が週1で来たとして、月4回で1万6千円。
一見が月5人来たら1万5千円。
数字としてはほぼ同じです。
しかし、売り上げが同じだとしても同じ人が4回来るのと違う人が5人来てくれるのとでは宣伝効果が違ってきます。
単純に、お店の情報が拡散される確率が5倍になりますからね。
さらにここにジャズファンとジャズファン未満の習性を加えてみましょう。
このブログでもよく言っているように、ジャズファンという人種はとにかくめんどくさいし、独特の閉鎖性を持っています。
ジャズファンと聴いただけで敬遠する音楽好きもたくさんいます。
ですから、ジャズファンが集まる店というだけで集客としてはもうマイナス要素が発生してしまっています。
ではそのジャズファンはお気に入りの店に友達やファン仲間をどんどん連れて来てくれるか、SNSで宣伝してくれかというと、それもあまり期待できません。
気に入った店があるとにわかに荒らされたくないから気軽に宣伝しない、よっぽど信頼している少数の仲間しか連れてこないという人がほとんどでしょう。
一方ジャズファン未満の人はどうでしょう?
以前から憧れていたジャズの世界に一歩踏み入れたことを自慢(?)したくてSNSで宣伝してくれる人も多いでしょうし、いい店ならどんどん友達を連れてきたがるはずです。
実際に有名Youtuberがジャズライブを初体験し『これで私もオ・ト・ナ♡』と締めくくっている動画を観たこともあります。
もちろん、にわかが増えるとコアなファンが逃げていきますが、発信力もなく(というか、あるけどしない)お店のイメージも損なう客を取るより、発信力を持ち、お店のイメージアップにつながる客を選んだ方が賢明だと僕は考えます。
実は以前、あるジャズクラブの経営者さんが話を聞かせてほしいと教室に来られたことがあり、上記のようなことをお教えしたことがあります。
すると熱心にメモを取り、納得していらっしゃいました。
数ヶ月~1年ぐらいしてからふとサイトを見ると、僕が教えた初心者向けの企画を打ち出し、好評を博しているようでした。
これが実際に5%のジャズファンより25%のジャズファン未満に訴求して結果が出た実例です。
アーティストでは高木里代子さんがそういったマーケティングをされていると感じます。
僕もブログでジャズについて書くときは、コアなジャズファンに嫌われるつもりでジャズに興味がある25%の人に対して書くようにしています。
そうすることでジャズミュージシャンやってたときよりもなぜかジャズミュージシャンとして認知され、ジャズの生徒さんも増えているので。
ジャズをビジネスにしたい人はその辺のことを考えてみるといいかと思います。
また、上記の方のようにジャズバーの経営者さんで相談がある方は一度教室までお越しください。