ジャズという世界には独特の対立構造が存在します。
ざっくり言えば、コア層とライト層の対立です。
ファンでもミュージシャンでもコア層はライト層を蔑み、ライト層はコア層を軽蔑しています。
さて、これを数値化してみましょう。
といっても前回と同じです。
コア層がだいたい5%ぐらい、ライト層が25%ぐらいです。
残りの70%はジャズに興味がない人たち。
問題はここから。
ジャズで何らかの活動をしようとする人たちは、必ずこのコア層に訴求しようとします。
まあ、当たり前といえば当たり前ですよね。
コアなジャズファンやバリバリのジャズミュージシャンに受け入れられたら箔が付いてビジネスとしても起動に乗ると考えてしまいます。
しかし、数字でイメージしてみるとそれが間違いだとわかります。
コアなジャズファン、正統派のジャズミュージシャンは、どんなに多くても1割は越えません。
そして、ライトなジャズファン(ジャズに興味がある)やジャズもかじっている程度のミュージシャンはその3倍~5倍は必ずいます。
一般論でいうと、コアな層に訴求できればライトな層も自然とついてくると考えられますが、思い出してください、ジャズにはコア層とライト層の対立があります。
コア層に訴求し、それが成功すればライト層は離れていきます。
逆にライト層に訴求し、それが成功すればコア層は離れていきます。
ではどちらに訴求するべきか?
そこで数字が出てきます。
5%に訴求するか、25%に訴求するか……言うまでもないでしょう。
単純な算数の問題なのに、なぜかこれが実行できないケースがほとんどだと思われます。
その理由は変なプライドでしょう。
自分はコアなジャズファンだ! ちゃんとしたジャズミュージシャンだ! ライト層に訴求していると自分もライトなやつだと思われかねない、それは嫌だ!……と、盲目的にコア層に訴求してしまい、その数倍いるライト層への訴求をおろそかにしてしまう……。
そうしてたった5%程度のマーケットを相手にするからビジネスとして広がっていかないのです。
実は僕も同じで、以前はコア層になんとか訴求しようとしていましたが、ジャズの仕事は全く増えませんでした。
しかし、もうジャズに見切りをつけるつもりで「ジャズに人が集まらない理由」を書き、コア層を批判したところ、ライト層からリアクションが来るようになってき、そこからさらにコア層のリベラルな人たちからもリアクションが起こってきました。
そういうことがわかってからは、ジャズのコア層を完全に無視し、嫌われるつもりでライト層に訴求し続けていると、ジャズの生徒さんがどんどん増えてきました。
5%を無視して25%に訴求したら数字が増えたというのは、今考えれば当たり前ですが、結果が出ないとなかなかわからないものです。
こうして数字が出てくれば、あんなに恐れていたコア層からの反発もなんとも思わなくなってきます。
コア層から嫌われれば嫌われるほどライト層から共感を得られ、それが数字として表れてくるので、しめしめとしか思いません。
それもこれも、ジャズにおける対立構造とその数値を知っていればこそです。
ここをしっかり把握し、冷静に数字を求めれば5%のコア層を切り捨てる勇気も出てくるのではないかと思います。
とはいえ試すのは自己責任でお願いします。