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主観と客観のどちらを信じるかという問題


八幡謙介ギター教室in横浜

創作や表現などをしていれば、主観と客観のズレについて必ず悩むようになります。

自分はいいと思っているものが全然相手にされなかった、酷評された、あるいは逆に自分がぜんぜんいいと思ってないものを高評価された、などなど。

ギターならギターをはじめて、できるだけ早くそれに気づくべきでしょう。

といっても、やっていれば必ずどこかで気づくのですが。

 

僕の場合、主観と客観のズレに最初に気づいたのは中学生のときでした。

ギターをはじめて数ヶ月ぐらいで、カセットテープに自分の演奏を録音し、聞いてみたことがあります。 

ロックスターばりの格好いいギターが聞こえてくると期待していたのですが、実際に聞こえてきたものはクソみたいな演奏でした。

ただ、このときはまだ中学生だったので主観と客観という概念ははっきりと持ってはいなかったのですが、世の中思った通りにはどうもいかないらしいとは感じました。

さて、その主観と客観ですが、どちらかというと客観=他人の意見を信じなさいと言われることが多いと思います。

確かに、自分は一人ですが他人はいくらでもいて、それぞれが違う意見を言ってくれます。

また、他人とは死んだ人間も含まれるので、歴史上の人物が残した教訓や、その生き方と自分を照らし合わせて考え、行動することもできます。

そう考えると主観はちっぽけで、客観は無限であるように思えます。

しかし、視点を変えてみるとまた違った現象が起こってきます。

人が何かを習得しようとしたり、世間にそれを問おうとする際、主体性ややる気、継続するための根気など、とにかく膨大なエネルギーが必要となります。

そのエネルギーを生むのは主観です。

好き、格好いい、可愛い、お洒落、できるようになりたい、などなど自分がそう思うからそれをはじめます。

その主観、例えば「好き」が強ければ強いほどその気持ちがエネルギーとなり主体性ややる気が出て、継続につながります。

そこに客観性、例えば『自分は好きだと思っているが、本当だろうか?一過性のものではないのか?』といった考えが浮かぶと、途端に気持ちが萎えてきます。

 

そうやって、多角的視点を持つが故に何も始められない人を何人も見てきました。

 

また、既に何かを習得し、パフォーマンスしたり作品を発表している人が客観的意見を信じるあまり潰れてしまうということも多々あります。

誹謗中傷を客観的意見だと思ってしまったり、そうでなくても同業者のA先生とB先輩とCさんの自分に対する意見が全く違っていてどれを信じればいいか分からないと悩むこともあるでしょう。

そうやって客観にふりまわされて自分を見失ってしまう人もやはり沢山見てきました(これは自分もそうだった時期があるのでよく分かります)。

客観的意見はもちろん大事ですし、できるだけ受け止めるべきでしょう。

しかし、結局その中のどれを採用するかは主観で決めなければなりません。

そのときの主観とは、いわゆる初期衝動に根ざしているものであることが多いです。

主観も客観も関係なく、一番最初に「かっこいい!」と思えたもの、「なりたい!」と思ったもの、最後に自分がチョイスするものはだいたいそういったものです。

それは当たり前といえば当たり前で、いくら客観性がどうこう言ったところで、結局やるのは自分だから、自分が一番いいと思うことをやらないとどこかで必ず潰れてしまいます。

 

ギターならギターをはじめ、上達し、活動できるようにはなったけどなんかおかしい、息苦しい、不安、この溺れているような感覚は何だろう??こんなはずじゃなかったのに……と感じている人は、もしかしたら客観に絡め取られて主観を忘れているのかもしれません。

そこにもう一度主観を取り戻せば、おそらくもう一段階強い芯が出来るはずです。

そうして新たに取り戻した主観は、エゴや自己顕示欲、承認欲求といった初期衝動に含まれる低レベルな感情が取り払われ、しかも客観に鍛えられたより純度の高い初期衝動となっているはずです。