八幡謙介ギター教室in横浜講師のブログ

ギター講師八幡謙介がギターや音楽について綴るブログ。

はじめてのジャズ 8 ジャズの仕組み ⑤なぜオリジナルじゃなくスタンダードを演奏するの?


八幡謙介ギター教室in横浜

ジャズミュージシャンはオリジナルの楽曲ではなくスタンダードを演奏することが多いと書きました。

ではなぜそんなことをするのでしょう?

自分の曲の方が楽しいだろうし、自分の曲を作って演奏した方がお金が入るはずです。

 

理由はいろいろあると思いますが、ひとつはっきりしていることは、スタンダードを演奏した方が仕事がスムーズにこなせるということです。

というのは、ジャズの仕事は原則その場限りのものが多いからです。

例えば僕がリーダーで○月○日横浜のジャズクラブでライブをするとしましょう。

そのために共演者を探します。

さて、無事共演者が見つかったらどうするか?

99%の確率で当日までリハーサルはしません。

場合によっては譜面を用意するかもしれませんが、演奏内容がスタンダードなら何もなしで手ぶらで会場に向かうでしょう。

あとは当日曲順を決めるだけです。

 

 

なぜこんなことができるかというと、ジャズミュージシャンならスタンダードは知っていて当たり前だからです。

だからジャズミュージシャンを目指す人はとにかくたくさんのスタンダードを覚えます。

自分も知ってる、相手も知ってるということが前提なので、いちいちリハーサルをしなくても成立するというわけです。

これが自分の楽曲ならどうでしょう?

音源と譜面を全員に配布して、リハーサルも数回やって、その分のスタジオ代は最低自分持ち、メンバーのご機嫌も損ねないように……と非常にめんどくさいことが待っています。

曲目をスタンダードにするだけでその労力は一気に解消されます。

自分も楽だし、共演者も時間を取られなくて済む、こんなに効率のいいことはありません。

しかも、スタンダードにすることでお客さんも喜びます。

特に日本ではオリジナルや前衛的なものよりも古典的なスタンダードを聴きたがるお客さんが多いので。

めんどくさいオリジナルをやって「ファ?」となるより、手っ取り早いスタンダードをやって喜ばれる方がいいですからね。

 

いずれにせよ、ジャズミュージシャンはみなスタンダードが好きで演奏しているというよりは、ジャズという音楽を取り巻く環境がスタンダードを演奏せざるをえない状況にある、といった方が正しいでしょう。

八幡謙介ギター教室in横浜のジャズレッスンHPを見る

 

 

はじめてのジャズ9へ

k-yahata.hatenablog.com

電子書籍版をチェックする
はじめてのジャズ

はじめてのジャズ

  • 作者:八幡謙介
  • 発売日: 2018/06/28
  • メディア: Kindle版