今や完全に市民権を得て、誰が弾いていても全然おかしくないエレキギター。
それこそオタクだろうが女性だろうが、サラリーマンやおじいちゃんがエレキギターを普通に弾く時代です。
横浜のギター教室にも、実に様々な方がギターや音楽を習いに来られています。
しかし、かつては「エレキ(ギター)は不良」とレッテルを貼られ、担いで歩いているだけで後ろ指さされ、親からは心配され、教師からは目の敵にされる時代がありました。
ざっくり言うと、80年代いっぱいぐらいまででしょうか。
信じられないでしょうが、校則で堂々と「エレキ禁止」を掲げる学校もあったのです。
つまり、教育上よろしくないということです。
といってもそれは偏見ではなく、80年代まではエレキギターを始める人はガチで不良でした。
ちょうど僕の世代のひと周り上の先輩(僕が中1のとき高1とか)ぐらいがその辺です。
その辺の世代はちょうど文化がミックスされ始めた頃で、ヤンキーでもありバンドマンでもありチーマーでもあり、ファッションリーダーでもある…みたいな人が音楽をやっていました。
要は不良ですw
その不良がたまたま音楽の方向に向かっていったというだけで、ベクトルが違えばバリバリの暴走族になっていたでしょう。
<不良→ギター>という図式が<ギター=不良>にすり替わっていったのでしょう。
普通の子がエレキギターをやるようになったのは、今ちょうど40歳ぐらいの人(ちょうど僕の世代)からです。
僕も全くといっていいほど不良ではありませんでしたし、一緒にバンドやってた人たちも普通の子でした。
とはいえ、世間の冷たい視線は嫌と言うほど浴びてきましたが。
今ではもうギターを禁止する学校もないでしょうし、親御さんが子供に勧める時代です。
子供がバンドを組むことに眉を顰める保護者もほとんどいないのではないでしょうか?
いい時代といえばいい時代ですが、一方でエレキギターに必要不可欠な不良の匂いがどんどん消えていっていることにはさみしい思いを禁じ得ません。
今の子はみんな上手いんですけど、匂いがしないんですよねえ……
そう考えると、ある文化を育むためにはその文化を禁止することが一番手っ取り早いような気がします。
かつての文学然り、漫画やアニメ、クラブカルチャーなど、行政にかけあって保護してもらう動きがあるようですが、それが成就した暁には、一番大事なものが死んでしまうかもしれません。