アーティスト、クリエイターとタイパの関係性については前回の記事に書きました。
タイパを上げれば膨大な作品が消化できるが中身が薄れる、一方中身を深掘りすると消化できる作品数が減ってしまう……。
古今東西のあらゆる作品を消化し、自分のものにする必要があるアーティスト、クリエイターにとっては死活問題です。
ただ、このタイパ問題を無効にすることは実は可能です。
それは……膨大な時間をかけるということです。
そもそもタイパに悩む前提として、時間がないという問題があります。
短期間でできるだけ沢山の作品を、できれば深掘りしつつ消化したい……そういった欲求がタイパ問題を生む原因です。
では仮に膨大な時間があればどうなるか?
その時間をかけてありとあらゆる作品を深く理解していけば、最終的に数に中身が伴った状態が完成されます。
これを熟知し、実践しているのがクラシックミュージシャンです。
クラシックの世界で4歳5歳から楽器をはじめるのが当たり前なのは、音楽を理解し楽器を満足に操るためには膨大な時間が必要だと知っているからです。
5歳ではじめたら、15年経ってもまだ20歳です。
15年もあれば古今東西の名曲名演をそれなりに深く掘り下げつつ消化することは可能でしょう。
上手くいけば20代前半にして一人前の素養と技術を身につけられます。
まあクラシックの世界ではそんな人は腐るほどいるのでしょうが……。
「それは分かった……でも俺もう30だよ」
「じゃあ20歳過ぎてアーティスト、クリエイターを目指すのは無理ってこと?」
「時間がねーからタイパの話をしてんのに、時間の話を持ち出すな!」
という嘆きが聞こえてきそうですが、大丈夫です。
はっきりいって何歳からでも遅くありません。
個人的には、60代までなら何でもはじめられると思います。
60代いっぱいを学びに使って、70代から活動をはじめるといったことも今後当たり前になっていくでしょう。
ましてや20歳過ぎたとか30過ぎたなんてのは時間をかけない理由になりません。
もちろん始めるのが遅いというのは事実ですが、だからといって諦める必要はないということです。
本気でアーティスト、クリエイターを目指す人はタイパなどというセコい考えを捨てて、10年単位の膨大な時間を想定し、数と質の両立を図りましょう。
大人であれば子供にはない知恵や人生経験、豊富な資金を投入できるというアドバンテージもあります。
10年もかければタイパがどうのと言っていた人が一生かかっても追いつけない素養を身につけているでしょう。
やれば……ですが。