タイパとはタイムパフォーマンスの略で、有効な時短を「タイパがいい」、無駄に時間を使うのを「タイパが悪い」と言うそうな。
詳しくはこちらの本に書いてあります(タイパが主題ではありませんが)。
感想はこちら。
私見ですが、タイパにはふたつの性質があり、アーティスト、クリエイターを目指す人は両方使い分けられないといけないというのが本記事の主題です。
上記の本でも取り上げられていることで言えば、映像作品のスキップや倍速視聴があります。
今の若者はタイパを重視し、ドラマや映画、アニメなどを基本1.2倍とか1.5倍速で視聴したり、さらには重要ではなさそうなシーンはスキップするそうです。
音楽でもイントロやギターソロを飛ばす若者が増えてきたことが昨今話題となっています。
確かにそうすることで本来消費される時間が減り、その分何か別のことに時間を割けるのでタイパがいいことは間違いありません。
アーティスト、クリエイターで考えてみましょう。
どんなジャンルでも過去の膨大な作品をできるだけ多く吸収しておくことが重要となります。
そのためにタイパを上げ、過去作品をひとつでも多く視聴しようとすることは確かに合理的です。
2時間の作品を1時間で観られたら、単純に普通に観ている人の倍の作品数に触れることができます。
映像作品を標準のスピードで観る、どんなにつまらなくても映像や音楽は絶対スキップしないとすると、タイパは悪くなり、消化できる作品の絶対数は減ってしまいます。
どんなジャンルでも1000作消化した人より2000作消化した人の方が詳しくなれるのは当たり前です。
ただし、アーティスト、クリエイターで考えるとまた違ってきます。
例えば俳優を目指している人は、標準スピードで作品を観ないと演技の間が掴めません。
イントロをほとんど飛ばす人は、いざ作曲する際「印象的なイントロを」という注文が来たときに対応できないでしょう。
また、タイパばかりを重視し1作を深く掘り下げていない人が、タイパ以上の価値を作品に付与できるかどうかは疑問です。
ややこしいのでまとめてみましょう。
タイパがいい
メリット:多くの作品を消化できる
デメリット:中身が希薄になる
タイパが悪い
メリット:作品を深く理解し、掘り下げられる
デメリット:消化作品数が減る
とこのように、タイパがいい=メリット/タイパが悪い=デメリットではなく、それぞれにメリットとデメリットがあることが分かります。
双方のメリットを上手に取り込むためには、タイパのいい/悪いを上手に使い分けられる必要があります。
アーティストやクリエイターを目指す人は、ぜひタイパを使い分けられるようになりましょう。
例えば、一応知っておいた方がいいけどそこまで重要でもない作品なら倍速やスキップを駆使してタイパよく消化する。
一方、歴史的名作だったり、自分にとって重要だろうと思われる作品は倍速やスキップをせず、何度も繰り返し視聴する。
また、定期的に作品の入れ替えをしてみてもいいでしょう。
例えばたいしたことないと思ってタイパよく消化していた二軍、三軍の作品を、一度一軍に上げてみて、試しにじっくり鑑賞してみる、とか。
それで何もなければまた三軍以下に落とせばいいでしょう。
アーティスト、クリエイターになりたければ絶対的に数が必要で、でもただ数だけではダメで、でも深く掘り下げるためには時間がなくて、だからタイパを上げて効率よく……とまあ複雑な時代ですが、要領よくやっていくしかありません。
この記事の続き。