ギターという楽器は、意外なほど怪我をしやすかったりします。
僕は「ギタリスト身体論」で13年ほど前(2009年刊行)それについて言及し、具体的な対策案についても書きました。
SNSやYoutubeなどの浸透でいろんな角度でギターについて研究されるようになり、腱鞘炎についてもそれなりに広まっているような印象を受けますが、まだまだ認知が足りない感じがします。
以下、僕が知っている範囲で腱鞘炎について書いておきます。
人間の指は前腕にある筋肉から伸びた腱を伸縮させて動かしています。
この腱は腱鞘(けんしょう)という袋を通ります。
筋肉が固まり伸縮がうまくいかなくなると、腱と腱鞘がこすれて炎症を起こし、痛みを発症します。
これが腱鞘炎です。
腱鞘炎になる原因は、その腱を操作する筋肉の使い過ぎです。
筋肉が硬くなると動きが鈍くなるので、腱と腱鞘が過度に擦れて炎症を起こすのです。
単純に言うとオーバーワークが原因です。
そもそも自分が腱鞘炎かどうか分からない人も多いでしょう。
ギターを弾くと手首や指の関節など特定の部位がじわじわと痛むとすると、間違いなく腱鞘炎です。
なお、前腕の筋肉が疲れる、痛いという場合は腱鞘炎予備軍かと思われます。
もうちょっと続けると恐らく腱鞘炎になります。
腱鞘炎になったら、まず休みましょう。
休むと筋肉の疲労が回復していくので、痛みは引いていきます。
また、日常生活でも特定の動きをすると痛むという場合は、その動きをできるだけしないように気を付けましょう。
腱鞘炎の治療ですが、以下の選択肢があります。
整形外科
だいたい診断書と湿布もらって「ゆっくり休んでくださいね~」で終わります。
あんまりおすすめしません(下記手外科は別)。
鍼灸
筋肉をダイレクトにほぐしてくれるので有効ですが、あくまで対処療法。
整体
こちらも鍼灸同様対処療法になりますが、先生によってはフォームのアドヴァイスをしてもらえる可能性も。
まあ、根本的な改善はあんまり期待しない方がいいでしょう。
手外科
手専門の外科。
腱鞘炎に対する治療としては一番信頼がおけそう。
保険適応かは不明。
新宿に世界のプロミュージシャンが通う名医がいるとかいないとか。
腱鞘炎については、医学的治療以外に根本的な対処法があります。
それは、腱鞘炎を発症しない(し辛い)フォームを獲得することです。
これは僕の分野でもあります。
過去に何度も「腱鞘炎でギター(ベース、その他)が弾けない、どうにかしてください」との相談を受け、正しいフォームを教えるとその場で腱鞘炎が出なくなったということを何度も経験してきました。
医療行為は一切行いません。
ただフォームを矯正するだけです。
僕でできるので、他のギター講師、音楽講師でも出来る人はいるでしょう。
正しいフォームを教えてくれる先生に習いに行くと、腱鞘炎にはならない(なりにくい)腕になります。
正直、これをしないと腱鞘炎の根本的な治療、改善にはならず、一生付き合うことになってしまいます。
以前とある武道の先生がミュージシャンへの講習会にて「腱鞘炎になる人を私はプロと呼ばない」と言っていましたが、それは間違いです。
どんなプロでも腱鞘炎にはなります。
特に年がら年中演奏している人、つまり一流のプレイヤーほどそのリスクは高いと言えるでしょう。
このように間違った思い込みで追い詰めて来る門外漢もいるので、最終的な相談は同じ楽器の講師や先輩などにするようにしましょう。
楽器をやったことない人に相談しても間違った答えが返ってきて混乱するだけです。
随分前に紹介したことがあるんですが、
AT-miniという器具があります。
腱鞘炎、筋肉痛、筋肉疲労、凝りなどにはこちらがおすすめです。
筋肉に微弱電気を流して血流を促進する器具です。
僕はもう十数年前に人からもらって、今でも使っています。
改めて値段を見るとかなり高いんですが、効果はめっちゃあります。
僕の場合凝りや筋肉疲労の回復によく使っていました。
ある程度の作業ならこれを付けたままできるので、特別なことをしなくても仕事や作業をしながら治療ができます。
高いけど壊れにくく10年以上使ってもまだまだ現役です(さすがにバッテリーだけ交換しましたが)。
医者や整体に通う時間とお金を考えると長い目で見れば元は取れます。